金融

ソーシャルゲーム規制の方向性について 〜金商法あるあるを交えながら〜

もともと騒がしかったソーシャルゲーム界隈だが、先日グリーの人気ゲーム「ドリランド」内で利用されるカードが不正に複製される事件が発覚したことを機に更なる盛り上がりを見せ、部外者と門外漢を中心に無責任で面白半分の盛大な規制コールが巻き起こって…

スタバで注文前に席を取らない方がいいいくつかの理由

タイトルにはスタバと書いたのだが別にスタバである必然性はなく、実はタリーズでもエクセルシオールでも何でもいい。ただ、少し一般化して喫茶店と書くと、それこそ兜町にあるようなトラディショナルなやつが大量に含まれる気がするし、カフェと書くとハウ…

滅び行く株屋の街、兜町

東京駅のすこし東、地下鉄東西線の日本橋駅と茅場町駅の間くらいに兜町という地域がある。その中心に位置するのが日本の株式取引の中心地、東京証券取引所であり、その周囲にも銀行や証券会社などの金融機関が多い。まあ、私の勤務地なのだが、この兜町とい…

上場を維持するコストと上場を廃止するコスト

先日「会社は何故非公開化するのか」というエントリーで「買収の対象となる会社側に非公開化する積極的な理由があることは極めて稀で、どちらかというと買収する側の都合でそうならざるを得ないことの方が圧倒的に多い」という旨を書いたところ、上場維持に…

電子商取引市場の伸びしろとCDS

少し前、TechCrunchの「インターネット販売でAmazonを出し抜くには 」というエントリーが注目を集めていた。内容は題名の通りで、電子商取引の分野でamazonを上回るためにはどういった戦略があるかということを考察するエントリーである。 新しいマーケット…

会社は何故非公開化するのか

震災の影響ですっかり鳴りを潜めてしまったものの、今年は年初よりTSUTAYAの運営会社であるカルチュア・コンビニエンスクラブや、アート引越センターのアートコーポレーション、ワインのエノテカ、システム開発のワークスアプリケーションなど、それなりの有…

ボディビルダー風セールスマンの倫理観とリスクについて

「金融大狂乱 リーマン・ブラザーズはなぜ暴走したのか」は、かのリーマンブラザーズの元従業員が破綻の内情を綴ったいわゆるノンフィクションものだが、自分達は実に有能な働きをしたし、サブプライムモーゲージなんかも危ないと思ったから必死で止めたんだ…

インターネットによって仲介業者が滅ぶという幻想

情報通信技術の発達、とりわけインターネットの普及によっていわゆる仲介業者が不要となり、それにより消費者と生産者の便益が劇的に向上するとする議論が、世の中には意外と多い(印象)。 直接金融市場における調達コスト こうしたストーリーの大部分が印…

市場とは何か

「ザ・クオンツ 世界経済を破壊した天才たち」は、証券市場で莫大な財産を築いた天才数学者(クオンツ)たちの物語だが、それは市場そのものの物語と言っても過言ではないものに思えた。 ザ・トゥルース 市場とはなにか。それは、真実の探求であると言える。 …

バフェットの投資哲学とリスクの分類

「バフェットからの手紙」を読んで、改めてリスクにはいろいろな考え方があるなあと感じたので、リスクの分類について少し考えたところをまとめてみた。 バフェットの投資哲学 知らない人はいないと思うが、ウォーレン・バフェットは米国の著名な投資家であ…

AKB48に学ぶ証券化の基礎技術とCDO48

2010年ももう終わりということで1年を振り替えれば、今年の芸能界はAKB48のために存在したと言っても過言ではなく、シングルCDのオリコンチャートはAKB48ばかり*1であり、テレビをつければそのメンバーを目にしないことはないし、明日の紅白歌合戦にも史上最…

史上最悪の賭博場

先日のパチンコの話は2万アクセスを超えるなど随分盛り上がったから、賭場つながりということで、今日は史上最も大規模かつ最も下品で節操のない賭場についての話。これに比べればパチンコ産業のいかにかわいらしいことか。 最悪の賭博場というのは、他なら…

りそなの大型増資と投資家のモラルハザード

先日、りそなホールディングスが新株発行のための発行登録をしたことが、一部で話題になっていた。 「新株式発行に係る発行登録について(PDF)」 時価総額とほぼ同額、6000億の大規模増資! 話題になっていた理由は、単純に金額がでかいからである。その額…

ソーシャルゲームのバリュエーション

最近めっきり筆が遅くなってしまって、旬なネタについて書き始めても書いているうちに旬を過ぎてしまうから、書き終えてはみたもののなんとなく今更感を感じてお蔵入りというケースが増えている次第。今日の話題もなんとなくそんな感じではあるものの、気合…

21世紀の国富論

VC(ベンチャーキャピタル)に対する不満を書き連ねた先日の記事は、260人以上にブックマークされ、アクセス数も10,000を超えた。日本のVB(ベンチャービジネス)をめぐる環境に不安や不満を持っている人は、少なくないということなのだろう。 先日の内容は…

日本のベンチャー企業を取り巻く環境があまりに悲惨すぎる件について

VC(ベンチャーキャピタル)を含む日本のVB(ベンチャービジネス)をめぐる環境はまだまだ未整備*1で、日本からGoogleやAmazonやAppleのような高い成長を実現するベンチャー企業が出て来ないことの一因となっている、なんてことは実によく言われることで耳に…

無担保ローンの罠

消費者金融業者などによる個人向け無担保ローンは、なにかと資金が入用な一方で、現金はもちろん高価な資産を持たない庶民にとってはありがたい存在ではある。しかし、金融業者が、無担保という言葉の印象ほど何の当てもなくカネを貸しているわけではないこ…

サブプライム問題にみる合理性信仰と思考停止

今となってはもう過去の話になりつつあるけれど、世界的な金融危機の引き金となった米国のサブプライムローン問題をちょっと振り返ってみる。 知らない人はいないと思うが、通常の住宅ローンの審査には通らないような信用度の低い人向けのローン債権に、先端…

投資判断のコツ

コモンズ投信の「コモンズ30ファンド」62006917JP.LPは、09年の東証株価指数(TOPIX)の上昇率が5.6%となる中、4割近いパフォーマンスを上げたらしい。国内上場企業のうち30銘柄に投資し、上記パフォーマンスをあげることに成功したのだそうだ…

JALで儲ける

今朝RSSリーダーを開いたところ、次の2つの記事が上下で並んでいた。 asahi.com(朝日新聞社):日航株主優待券「たたき売り」 金券ショップに大量流通 - 社会 asahi.com(朝日新聞社):日航のマイレージ・株主優待券を保護 支援機構方針 - ビジネス・経済…

米経済は更にもう一段の悪化に見舞われる

アメリカで連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、声明が発表された。 大方の予想通り「フェデラルファンド(FF)金利誘導目標水準をゼロ─0.25%に据え置」く旨が発表される一方で、「金融市場の機能回復が進んでいることを考慮し、特別流動性措置の大…

日本版国富ファンド

あまり話題になっている様子もないけど、亀井大臣がまた何か面白そうなことを言っている。 12月11日(ブルームバーグ):亀井静香金融・郵政担当相は11日、都内で講演し、ゆうちょ銀行の事業について、民営化見直しに伴う全国展開の新たなサービス強化などを…

レバレッジド・ファイナンスとはなにか

先日、会社のカネで、某キングオブ米系投資銀行のMDの方が講師を勤める6時間にも及ぶセミナーに出席したので、その際に聞いた話にもうちょっとこう説明したらいいのにという私なりのエッセンスを多少加えて、以下に簡単にまとめることにする。 さて、レバレ…

リフレの話について、補足

「金融関係者の反リフレ論について - Baatarismの溜息通信」という記事からトラックバックをいただきました。 正直、リフレの話は食傷気味ではありますが、同記事では「金融関係者がリフレ政策に反対するのは、フィッシャー効果を誤解しているからだ」とずば…

マーケットから見た「リフレ派」の誤謬

はっきり言って、我々マーケットサイドに言わせると経済学なんていうものはただのそびえたつクソのようなもので、マーケットの動きを予想したりするには何の役にも立たない*1わけですね。マーケットを読む上で大事なのは科学や工学ではありません。雰囲気で…

三井住友と大和は相変わらず面白いな

「三井住友FGと大和証券が合弁解消へ : J-CASTニュース」だそうで、既に出がらしのネタとは承知しつつ、これはなにか書かざるを得ない。 三井住友「大和、落ち着いて聞いてくれ。おれは日興と交際しようと思ってる。」 大和「え?」 三井住友「日興はかわい…

資産運用について

我が愛するはてなー諸君は、私の知る限り、あまり資産の運用利回り確保について強いアペタイトを有しているようには見えない、というか要はカネを持っていないので適当に読み飛ばしていただければとは思うが、少し資産運用について考えたことを記しておきた…

自己責任とかじゃねえし

ほんとにやめてほしいよこういうのは。 自宅リビングのテーブルには、大量の介護付き老人ホームのパンフレットが並べられている。かつて、今年78歳になる親のために集めたものだ。「母が証券会社のいいなりにならなければ、安心して老後を過ごせる環境が手に…

米国が開き直るとき

これはおそろしい。 孫引きにつき大変恐縮だけれども。 クルーグマン教授の見解だが、「China and the liquidity trap」で興味深い指摘をしている。これはニューヨークタイムズの経済コラムニスト、David Leonhard氏の米中関係の記事(の一文)に反論したも…

米国経済終焉に向けての勘所

最近また米国まわりの経済情勢が大分慌しい感じになってきているものの、相変わらず経済にはまったく疎いはてなーどもは、ニュースの意味もわからずに不安な日々を送っているのではないかと心配になったのでちょっと書いておく。 FRBによる長期国債買取にみ…