無意識とか潜在能力とかについて

この本を読んでみた。

図解! あなたもいままでの10倍速く本が読める

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まず簡単に内容に触れる。
この本のタイトルは「フォトリーディング」であるが、読んでみると「フォトリーディング」というのは、この本が推奨する読書プロセスにおける、ひとつのプロセスに過ぎないことがわかる。まずその他のプロセスについて書くと、例えば読書を開始する前に集中する、とか目次などでざっと全体を把握する(プレビュー)、とか斜め読みで全体を一度通読する(高速リーディング)、とかそのうえで必要な箇所を重点的に読む(スーパーリーディング)、とかであり、ざっとあげただけでわかるが、どれもまったく目新しくは感じないし、わたし個人に限って言えば、当然そのように読んでいる。
であるから、この本の主眼は自ずと「フォトリーディング」というひとつのプロセスに向けられることになるから、そういう意味では本のタイトルとしては正しい。
ここで、その「フォトリーディング」についてだが、これが知ってる方ならわかると思うがなかなか眉唾的な技術(?)である。その内容はこうだ。まず、視点を文字から外す。この時点でかなりドラスティックではないだろうか。むかし寄り眼にすると絵が飛び出す、みたいな本が流行ったが、あの視線を使う。そして、ぼやけたページを秒速1ページくらいの速度で眺めるのである。で、なんの意味があるかというと、視覚から取り込んだ情報を意識下を通さずに無意識下に記憶するということらしい。このプロセスを、プレビューと高速リーディングの間にやることが推奨されているわけであるが、「フォトリーディング」により、無意識下に取り込んだ情報がその後の高速リーディングなどを経て意識下の階層にインプットされ直すとかなんとか、そんな仕掛けである。これにより短時間で驚異的な理解を得られるらしい。人間の潜在能力には、そういう記憶を可能にする能力が秘められているのだそうだ。


ただ、本日は上記手法の眉唾度合いについて論じ、この本はオススメとかそういう話をしたいわけではない。ことの真偽は定かではないにしろ、私はこの手法を知って、少し前に読んだ以下の本のことを思い出した。


アイデアのつくり方

アイデアのつくり方


こちらの本については、タイトルのとおり、いかにしてアイデアをつくりだすかという内容なのであるが、その方法は概ね以下のとおり。即ち、まずは情報集であり、さまざまな事象や思想などをクリッピングする。そして次がそれらの情報を咀嚼する段階で、何度も見返したりする。ひとおり咀嚼を終えたら、その後一切を忘れる。するとふとしたときにすばらしいアイデアが思いつくものである。という内容だ。


なにが似ていると思ったかというと、「一切忘れる」という部分。これは情報を無意識下に保存し、アイデアの発生を潜在能力に託すという解釈はできまいか。そう考えるとうえの「フォトリーディング」も無意識の潜在能力を活用して高速での理解を可能とする技術であるから、論点が似通ってくる。


わたしが、上の2つの本を読んで思ったのは、人類はこれまで、産業革命なり、株式会社なり、複式簿記なり、経営学なり、何なり、要は合理化による発展を実現してきたのだと思うのだが、もはや個々人が潜在能力を発揮しないとこれ以上の発展が見込めないような段階に到達したのだなあ、ということである。
果たしてそこまでの発展というか生産能力の向上が必要なのか、というのはひとまず置いておいたとしても、なかなか興味深い現象であるなあ、と思った次第である。