転職についてのまとめ

転職について考えたのでまとめてみる。
要は、下で説明する、現職と転職先における給与所得の将来的な合計額にさまざまなプレミアムを考慮した結果の差額が、転職に関するコストを上回るようであれば、転職をすべきであろう。

1.コスト
転職には以下のようなコストがかかると考えられる。

・検討に関するコスト、は時間的なコストである。エージェントとのコミュニケションや、実際の面接などには相応の時間を要する。その時間をより有意義な活動に充てていたことを仮定した場合の機会損失が発生している。
・新しい職場でのプレゼンス獲得のためのコストは、仕事をするうえでの必要な人的・物的な社内環境の整備に充てるべきコストである。新しい職場における新しい上司との信頼関係構築のためには食事の場を数度設定する必要があるかもしれないし、休日を利用してゴルフのラウンドをする必要があるかもしれない。実際に金銭的な支出を伴う場合もあるし、そもそも環境整備が整わなければ仕事を開始することは難しく、やはり機会損失が発生する。
・引越しなどに関する物理的なコストは、転職先の地理的な要因などによって、新たに負担を余儀なくされる場合に発生するコストである。


2.給与所得
給与所得については、単純に額面だけで比較する方法もあるが、本質的にはおそらく割引現在価値として考えるべきである。

・当初複数年の給与シミュレーションの実施を行い、給与所得から生じるキャッシュフローを算出すべきである。例えば家賃負担を会社負担にしてその分給与の額面を減じる会社と、給与の額面は維持して、当該給与から家賃を控除する会社では、課税所得が変わってくるため、キャッシュフローが異なる場合などもあり、精緻に検討する場合は、キャッシュフローをベースにする必要があろう。
・割引率
・残余価値


3.その他留意事項
上記以外にも数値化することは困難であるが、考慮すべき事項がある。

流動性プレミアムは、その業界における人材の流動性、即ち転職しやすさ、つぶしの利きやすさを表す。流動性が高い業界への転職は、その分プレミアムを支払う(安い給料で甘んじる)価値がある。
・コントロールプレミアムは、職場におけるプレゼンスの問題である。自分の好きなように仕事が出来たほうが満足度は高いし、会社から求められる存在になることで高い交渉力をもつことができる。小さいな組織や完全な実力主義の組織、またはもとよりその会社の重要な意思決定者との間にコネクションがある場合などは、このプレミアムを支払う価値があるといえる。
・シナジー効果は、会社からノウハウを取得できる場合などに発生し得る。その会社のなかだけでなく、一般に高い評価を得ることができる技能を身につけることが出来るのであれば、相応のプレミアムを支払う必要がある。
・事業リスクは、会社の規模や業態に伴う、自身のレイオフや会社の倒産などのリスクであり、マイナス要因である。