所得の決定要因

ふと考えてみた。

仮説:
所得=(所属する組織の創出した価値)×(組織に対する絶対的な貢献度)

前近代的な純粋な労働力という考え方であれば、コストアプローチによる時間の量り売りと言う概念(つまり最低限生活できる程度のコストから自分の時間当たりのコストを算出し、そこから逆算して時間当たりの労働力単価を決定する考え方)が多勢だったのだろうが、成熟社会において経常的な人口増が見込めない場合、個々人の創出する付加価値を増大せねば資本主義社会の前提である経済成長は見込まれず、必然的にコストではなく、価値に基づいた値決めをする必要性が生じる。

また、今の世の中、大半の事業主体は組織(会社、会社の事業部門、事業組合などを広範に含む)であるから、個人の所得を考慮するにあたっても、組織の収益による影響は決して無視できない。そして、組織が非常に儲かっていれば、個人としてさほど貢献していなかったとしても、それなりの所得を得ることができるし、逆にどれだけ貢献しても、組織が万年赤字の状況であれば個人の所得もたかがしれている。つまり理論的には、個人の所得は当該個人が創出している価値に基づいて決定され、個人の創出する価値は組織の創出する価値に対する貢献度ではかられると考えた。

組織が創出した価値の総額については、当該組織の売上高から原価及び組織を維持すること自体により発生する固定費(家賃・管理費・通信費・設備の償却など)を除いた値と思われる。


次に、組織が創出した価値の帰属としては、組織自体の価値と、役職員個人の価値の総和に大別されると考える。組織自体の価値は、即ち、設備やシステムといった固定資産、のれん代といわれるようなブランドやナレッジなどの無形資産といった組織の資産に帰属する価値である。

所属する組織の創出した価値=(粗利−固定費)=(組織自体の価値)+(個人の価値の総和)


また、組織に対する貢献度として絶対的な尺度で判断できることは稀である。個人の業務は多岐にわたることも少なくないし、かつ個々の業務においてチームで解決に当たる場合も多いからである。よって、個人の貢献度を定量化するにあたっては、相対的な指標におきかえなければいけない。

組織に対する絶対的な貢献度=((個人の価値の総和)/(粗利−固定費))×(1/(従業員数))×(相対的な評価)


以上を展開して、以下の式が導かれる。
所得=(((粗利−固定費)−組織自体の価値)/(従業員数))×(相対的な評価)


なにがいいたいかというと、
・従業員あたりの粗利が低い会社にいっても所得はたかが知れている。
・組織自体の価値は低いほど個人に配分されるべき価値は高いことになる。
・相対的な評価というのは、ある人物の主観に基づくものであって、本質的に価値には依存しない。
・即ち、組織全体の粗利に影響を及ぼさない範囲において、個人の創出する価値はあまり意味がない。
・よって、運がよくて(高成長企業に巡り合う)、世渡りがうまいひと(相対的に評価されやすい)は、労せずして高い所得を得る場合が多い。
・ざっと計算してみて、所得が理論値を大幅に下回るようであれば、転職をかんがえたほうがいい。


ところで、2つめのポイントについて、多少違和感があるがこの違和感は本モデルが、ある一時点の所得シミュレーションを想定していることに基づくと思われる。即ち、組織自体の価値が低い組織(ブランドがなく、ナレッジも蓄積されていない)は、組織の継続性自体が危うく、一時的に優秀なセールスマンの功績で粗利が高かったとしても来年はそうはいかないリスクが高い。これは完全にオフセットの問題となる。