大きな市場と対峙するリスク

日本のアニメが世界に「売れない」 生き残りの道は (1/2) - ITmedia ニュース』を読んで、最近小耳に挟んだ関連の話を書き留めておこうと思ったがブコメではどうも収まりがつかなかったので、こちらに。

世界市場進出の課題

某アニメーション製作会社の人曰く、世界を相手にしてアニメーションでもなんでもそういういわゆる映像コンテンツの類を展開することを考える場合、もっとも注意しなくてはならないのは多様な文化や宗教、国際情勢などに対する表現の配慮なのだそうだ。

ハリウッドなりディズニーなりといった大御所も、その手の問題にはかなりのコストをかけているのではという話で、要は日本の製作会社ふぜいのしみったれた製作予算ではまず無理と。

既にその分野でかなりのブランド価値とマーケットシェアを持っているハリウッドなりディズニーなりに競り合って莫大な製作予算を掛けて勝負に出るという大博打は、ビジネスとしてどう考えても得策ではないわけで、そうであれば、前出の大手さんからの受託として製作に特化するほうがリスクマネジメント的な観点からはよりよいし、万が一大博打がはれる体制が整ったとしても脚本とかそういう部分ではかなり大部分を海外のリソースにたよる必要があるとかないとか。

で、受託製作という意味では、日本の製造業の(過去の)成功が示すとおり、お国柄なのかなんなのか知らないが、日本の会社にも工程管理やらクオリティ維持などの面では競争力があったりはするようだ。

国内マーケットの縮小と今後の方向性

一方で、先日少し話題になっていた『「内向き」で何か問題でも? (内田樹の研究室)』という記事でも論じられているとおり、日本というマーケットはわりと大勢の人が言語や文化をある程度の水準で共有しているマーケットである。であれば、わざわざそんな文化面の下調べなどに気を遣ったり予算をさいたりしなくとも、日本人なら誰しも肌身に感じているような感覚に基づいてつくるだけで、少なくとも国内市場においては内容を度外視した基準で排除されるようなリスクもないわけで、だったらそれでいいよねという判断はある種合理的ではある。

当然、てゆうかその日本のマーケットが縮小してるんですけど的な問題があるわけだろうが、これはもうみなさんが団結して力を合わせ、世界市場の巨人たちに立ち向かっていくか、そうでなければ上述したような競争力を活かして受託製作など特定分野への特化をはかるか、若しくは世界市場における次のニッチマーケット(日本マーケットも要はひとつのニッチマーケット)を探すしかない。

ジャパニメーションオリエンタリズム

一時期、ジャパニメーションという名前がつく程度には、日本のアニメが海外の一部で受け入れられるという現象があったようだが、それはおそらく、いわゆるオリエンタリズムというやつであって、決して主流にはなれない流れと思える。つまり、非主流の日本アニメなんかに脚光を当ててるアテクシってちょっとツウじゃない?ということだ。

もしくは、たまたま問題の少ないコンテンツがたまたま人気を博したという、いわゆる奇跡というやつかもしれない。

まとめ

まとめると、当たり前のことだけれども、ちゃんと筋道立てて考えれば、大きな、そしてさらに今までとは違う市場に打って出るには体力もいるしリスクも高いのだよねというお話。