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米国と中国の緊張関係

政治 経済

米国と中国の関係が日増しに緊張しているような。

米国は予ねて、その絶大な軍事力を背景に、世界平和の番人を自称し、気に食わない相手がいれば”ならず者国家”というレッテルを貼っては叩き潰すというジャイアニズムを炸裂させてきた。

この戦略は米国の政治力を高位で安定させるために必要不可欠なものであるが、そのポイントは上記軍事力に加え、「大義名分」である。ただの弱いものいじめでは下々はついてこない。表面的であれ、正義を掲げるからこそ権力を維持できるわけだ。ジャイアンも大長編(映画版)でみせるあの優しさがあるからこそ、のび太・スネ夫ら出演者はもとより、視聴者からも見放されずにあの地位を維持できている。

その米国が、北朝鮮には微妙に弱腰ではないか。今回突如ミサイルだか衛星だかを発射して、日本を混乱させていたが、これがイスラム国家だったらとっくに戦争が始まっていてもおかしくない。オバマ大統領は『「北朝鮮は長距離ミサイルにも使えるロケットをテストした」と指摘。「違反は罰せられなければならない。今こそ国際社会が強い対応を示す時だ」と、対抗措置の必要性を訴えた』そうだが、普段の米国であれば、「国際社会の意志とはつまりアメリカの意志なのであって、気に入らないやつは叩き潰すのだお前らついて来い」くらいの声明を出していたはずだ。それが今回は、「あいつらおかしいと思うんだけど、みなさんどうしますか」とこう言っている。熱でもあるのか。


こうした微妙な発言の裏にあるのは、間違いなく中国との関係だろう。今回の北朝鮮の件についての中国のスタンスについて、朝日comは以下のように説明する。

一方、北朝鮮に対する最大の援助国で軍事同盟も結ぶ中国は「打ち上げたものが人工衛星だったかどうか」という点に重きを置く。

 中国は日米韓が訴える「ミサイル開発」という懸念にも一定の理解は示している。北朝鮮核問題をめぐる6者協議の議長国として日米韓と北朝鮮の間で板挟みになった形でもあり、悩ましい立場に立たされてもいる。

 このため、5日の安保理緊急会合でも中国側は協議に入ること自体は容認しそうだ。しかし中国は、協議のなかでどういう態度をとるかを明らかにしていない。

 中国が今回、「衛星を搭載していたかどうか」を強調したのは「人工衛星であれば弾道ミサイル計画には含まれないと主張し、新たな安保理決議に反対するためではないか」(北京外交筋)との見方が出ている。

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中国は北朝鮮と仲が近いから、米国としては北朝鮮をあまり表立って攻撃することで、中国と対立せざるを得ないような局面に陥ることを避けたいのではないか。オバマ以前の歴代大統領も、就任直後は対中国外交で強硬な姿勢をアピールしていても、徐々に軟化させてきた経緯がある。

先日の記事で私は、ドル暴落のきっかけとして、米国債需要の著しい減少をあげたが、世界一の米国債保有国は他でもない中国である。同順位で第2位につける我が国日本は、軍事的にも経済的にも米国の下僕さながらなのでたいしたリスク要因ではないが、中国は違う。上述した北朝鮮に対するスタンスでもいつ対立するかわからないし、昔からの台湾問題もある。(中国は)先日はドルを基軸通貨とする国際通貨体制を見直せなどという、きわめて刺激的な牽制球も放ってきた。


中国のほうにも、腐っても世界の番長たる米国様とあからさまに対立するまでの用意があるとは到底思わないが、成り行き上そうなってしまうということは十分ありえる。そして北朝鮮情勢は、そのトリガーとなる可能性を少なからず秘めているだろう。米国としてはジャイアン的ポジションを維持するにはスルーするわけにもいかず、かといって全面的に対峙するには中国のリスクが大きすぎるという極めて難易度の高い外交を迫られているという印象がある。そういえば、中国の後ろにはあのロシアも控えているのだ。

この難しい局面を迎えて、何らかの解があればそれは結構なことだが、実はすでに詰んでいるという可能性もある。意外と遠くない将来、中国がこれ以上の米国債残高の積み増しは行わず、順次他国通貨に振り替える(ことを検討する)などの経済的カード*1を切ってくるかもしれない。

そうなってくると、ドルの暴落をとめるものはもう何もない*2という感じになってくるような気がする。

*1:全面対立の用意がないからこそ。

*2:あ、あとは日本の個人金融資産か。