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仕事はなるべく先送りにしたほうがいいと思う5つの理由

「嫌なことを後回しにする人」から脱却する方法(1/2):IT&ウェブ業界の転職をサポートする「CAREERzine」(キャリアジン)」とか結構これ系の話題はよく出るが、私はタイトルのとおりかなり積極的に先送りにする派なので、ここはひとつ私の考える先送りのメリットとでも言うべきもの*1を周知しておきたい。

1.期限を明確にする癖がつく

先送りを活用する際の大前提は、いたずらな先送りで期限を逸し「仕事できない烙印」を押されてしまっては元もこもないということである。これから述べることはあくまでも、先送りを前向きに活用する際のポイントである。であれば、与えられた、又は発生した仕事を上手に先送るためには、何よりもまず最終的な期限を明確にしなければならないことになる。

要するに、期限を明確にして、その期限にギリギリ間に合うように仕事をする。これが先送りの定義である。

先送りの習慣ができると、ふいに仕事を振られた際にも、とっさに期限を確認する癖がつく。これはとても良いことだ。例えば、あなたの上司が、ある仕事を、簡単な仕事なのですぐ終わるだろうという目論見をもってあなたに依頼してきたとする。たまたま忙しかったあなたが翌日になってその仕事を報告したところ、その上司は口にこそ出さないものの実はこっそり落胆していたのでした、というケースは普通にあり得ることだろう。こうしたケースは、事前に期限を明確化することで避けることが出来る。さすがに自分で言いつけた期限内に報告を受けておいて落胆するアホは、普通いない。

逆説的な言い方になるが、先送りとは期限が迫った仕事を優先的に片付けることに他ならない。

2.やらなくてもよくなるかもしれない

誰でもやりたくない仕事のひとつやふたつあることと思う。評価に繋がらない仕事や、ルーティーン化していて刺激に欠ける仕事など。日本の伝統的な価値観は、我々に嫌なことを後回しにしてはいけないと告げるが、実はこれは全く逆である。

よく考えて見て欲しい。嫌な仕事を期限ギリギリまで先送っておけば、もしかしてやらなくてよくなるかもしれない。前提となっていた市場環境が変化することもあり得るし、取引先が方針を転換するかもしれない。上司の気が変わることや、そもそもが気の迷いだったということもある。そういった外部環境の変化に柔軟に対応して、仕事のプロセス全体を最適化するためには、軌道修正やボツの可能性を考慮して、初っ端から必要以上に飛ばしすぎないことが肝要だ。

これはよく考えてみれば至極当然のことで、もう少し大きなプロジェクトに対する意思決定であれば、誰もが同様の判断をしているはずだ。例えば100億円を投じる工場建設プロジェクトがあったとしよう。100億円の資金は、当然一度に投下してもいいが、実は20億円のラインを5本造るプロジェクトなので、2億円づつ投資して工場で生産する製品の需要などを確認しながら追加投資を判断することもできる。この場合に、一括で100億円を投下するのはよほどの自信家だろう。大量の受注がすでに来ていて、需要動向のリスクが極めて小さいとき以外では、基本的にあり得ない。

つまり、仕事やプロジェクトには撤退や縮小といったオプションがあるということだ。そうしたオプションの価値を十分に高めるためには、過剰な投資を避けることが前提条件である。

3.過剰な仕事を避けることができる

上記2と少し似ているが、期限ギリギリに仕事を仕上げるようにすると、余計なことをする時間が必然的になくなるから、余裕をもって取り組むときと比して作業時間をざっくり3割ほど減らすことが出来る。

大概の仕事は、完璧な状態の7割程度の出来で十分である。例えば某アパレルの小売店*2では、客が広げた衣服を綺麗にたたむことが店員の重要な仕事のひとつである。ただ、全ての衣服を完全な状態にするためには、人件費がかかり過ぎる。そこで、客が陳列棚を見たときに悪影響があるほどには汚くなく、かといって通常の人件費のなかで十分に対応できるのが、だいたい7割くらいだと聞いた。客の目に付きやすい部分など、キーとなるポイントを中心に7割くらいの衣服を綺麗にたたんでおけば、まあ全体的な印象としては綺麗だということになるらしい。

同様に、大抵の仕事はなにも100%完璧に仕上げる必要性は、必ずしもない。重要なことはキーとなる7割を見抜き、そこに集中することである。締め切りの直前ギリギリに作業するようにすれば、自然とそうなるはずだ。

ゴルフでも疲れたときのほうが力が抜けていいスイングができるというのに似ている。いや、あんまり似てない。

4.リスクマネジメントが上達する

期限ギリギリを目指して作業をしていると、想定外の事態が起き、結局期限を逸してしまうというケースが考えられる。これは実際によくあることなので、注意深く対処しなければならない。具体的には、プロセス全体を考えたときにボトルネックとなる工程が必ずあるので、それを見極めることが必要となる。

例えば、あるプロジェクトにおいて、担当弁護士の確認が相当長く、かつ確認を得なければならない書類が複数あるとする。同プロジェクトにおいては、その弁護士が間違いなくボトルネックの一つであるから、その弁護士の作業時間に空きが出てしまわないように作業のスケジューリングを組むべきである。より具体的には、弁護士の確認を要する書面については優先的に草案を起こし、確認を仰ぐことが望ましい。より一般化して言えば、他人の作業に接続する作業については、優先的に行うべきとも言える。

ここまで説明すれば既にお分かりの通り、こうしたリスクマネジメントの考え方は、先送りするときだけに必要となるものではない。本人がいくら余裕をもって作業を進めているつもりでも、予期せぬ外的なリスクが顕在化することで結局期限を逸してしまうことは往々にしてあり得るからだ。

必要なのは、いかなるケースであっても作業の開始前にプロセス全体を見渡し、想定されるリスクを洗い出し、それらに備えることである。そうした意識を持つために、先送りによって自身の緊張感を高めることが有効となるのだ。

5.柔軟な対応を可能とする判断力が養われる

期限を明確にし、キーとなる7割を把握し、プロセス全体のリスクマネジメントを心掛けてもなお、納入した仕事の出来についてトラブルが発生することはある。こうした好ましくない事態は、おそらく余裕をもって対処すれば多少は減ることと思う。しかし、こうしたトラブルというのは、実は減らすより対応したほうが効果が高い

というのは、まずひとつにはトラブルをまったくゼロにすることは不可能だから。そして、柔軟かつ迅速な対応をする様というのは、格好がいいからだ。人間誰しもイレギュラーな対応や特別扱いを好むもので、仕事のパートナーや取引先の担当者がトラブルに柔軟かつ迅速に対応する様を見せ付けられると、うっかり優秀な人だと思ってしまうものだ。であれば、むしろ多少のトラブルであれば買って来てでも対応することは、費用対効果の高いアピール手法だと言える。

大事なことは、柔軟かつ迅速な対応ができるように、予め準備しておくことだ。手元にちょっと詳しい資料を控えておいたり、信頼できる人に相談できるように時間を確保しておいてもらったり。要は、クイズミリオネアで言うライフラインみたいなものである。

仕事を先送って、期限ギリギリで仕上げると、まず間違いなく何らかのトラブルが発生するだろうという気になる。実際に発生するかどうかはわからないが、決定的に見直し・再確認の時間が不足するので、不安にはなる。ただ、この不安の種を突き詰めていくことこそが、必要なライフラインの抽出、そして確保に繋がるわけだ。

6.先送りは自己責任で

うん。たぶん向き不向きはあると思うし、上に書いたようなことを心がけてかつ余裕を持って仕事ができればそれに越したことはないわな。
実践と言うよりは、上司に叱られたときの言い訳に是非。

*1:言い訳とも言う。

*2:どこの会社の話だったかは忘れたw