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楽天にありがちなこと

さて、このエントリーを書いている今の日付は2012年の3月11日ということで、例の東日本大震災からちょうど丸1年である。テレビをつけるとどの局も震災関連の特番に次ぐ特番で、改めて震災被害の甚大さを思わせる1日であった。私としても、1日でも早い被災地の復興を願わずにはいられない。

しかしながら、である。ブロゴスフィアテレビ東京を目指す当ブログとしては、ここで世間の雰囲気に飲まれ、安易にセンチでポエムなエントリーを披露するわけにはいかない。いつも以上に下世話な愚考を開陳して、みなさまの苦笑を誘っていきたいと思っている次第。

ということで、今日は楽天について考えてみたい。

気になる楽天


あれは、こないだ電車に乗っていたときのことだった。ふと楽天の広告が目に止まったのだ。なんの広告だったかはまったく覚えていないが、楽天のロゴだったことだけは、はっきりと覚えている。

前から思っていたのだけど、楽天のロゴというのは、何か言い知れぬ違和感があって、実に気になる存在である。良く言えばインパクトがあるということなのだけれど、例えば楽天ロゴのプリントされたTシャツがあったとして、着るかと言われたら、まあ寝巻にするだろうなとは思う。

楽天のロゴは、漢字でシンプルにドーンと「楽天」と書き、何故か2つの文字の真ん中にはアルファベットのRがくる。まあRakutenのRだと言うのはさすがにわかる。ただ、だったら社名も漢字じゃなくてアルファベットで綴りゃあいいじゃないかと思うのだが、なぜか漢字なんである。とは言え、あの真ん中にある赤地に白抜きのRマークだけで「あ、楽天だ」と思うかというと、これは相当怪しいから、やっぱりあの漢字の字面が必要なんだろうと思う。しかし、だったらあのRマークは一体何なのか。Gakutenじゃないよ、Rakutenだよという補助的なメッセージなのだろうか。気になる。

楽天が気になるのは、昨日今日始まったことではない。

先日も、日経ビジネスのオンライン版に楽天三木谷さんのインタビューが掲載され、少し話題になっていたのだけれど、「経団連って、全然チャレンジとかしないし新しいビジネスにも不寛容で、なんか爺さんたちの互助会みたいだから辞めちゃったよー、いやー奥田さんに頼まれて入ったんだけどさー、辞めちゃったよー、いやー奥田さんに頼まれたんだけどさー」というミサワ風コメントのウザさと共に、話がソーシャルゲームの話に及ぶと、DeNAによるベイスターズ買収に最後まで反対していたことに触れ、「子供の射幸心を煽るようなビジネスをしている会社は球団経営に相応しくない」というかねてからの主張を繰り返し、微妙に新しいビジネスに不寛容な姿勢を見せて、先の経団連に対する辛辣な発言との整合性を疑問視させる構成が印象的だった。

いまだによくわからないのだけれど、三木谷さんは、なぜあそこまで執拗にDeNAのプロ野球参入に反対したのか。子供への影響と再三おっしゃっているけれども、もしそれが本音ならDeNA参入反対の裏でひっそりと処分したプロフサービスや、楽天出身者が代表を務め、かつては資本関係もあったグリーがテレビでガンガンCMやってる件、並びに楽天市場から送られてくる大量の迷惑メールあたりとの整合性がよくわからないし、建前だとしてしまうと、本音がどこにあるのかさっぱりわからない。グリーを守ろうとしてDeNAを批判したと考えることもできようが、ただ、あの批判の仕方だとDeNAだけでなく見まごうことなき同業者であるグリーも決して無傷では済まないわけだから微妙におかしいし、参入候補がグリーでも反対したと言い切っているということもあるから、まあ違うのだろう。しかし釈然としない。

まだある。

先月発売のダイヤモンドは、定期的にやってるビジネス英語特集だったが、そこで楽天の社内公用語英語化に対する取り組みの進捗が「凄絶!」という煽り文句付きで紹介されていた(煽られてつい買ってしまった)。まあ国内売上だけだといずれ頭打ちになるというのはその通りだと思うし、それを打破するためにグローバルな企業になっていく必要があるというのも納得感があるから、社内の公用語はいっそ英語にしますという流れもまあわからないでもないなと思っていた。ところが、前掲の記事に綴られていたのはまさに凄絶としか言いようのない状況であった。

凄絶、単なる煽り文句ではなかったのだ。

曰く、会議資料からはじまった英語化の波は、いまや社食のメニューにまで達したとのことだ。加えて、全社員にはTOEICの一定点取得が義務づけられ、ご親切に短期留学の斡旋までしていただけるのだそうだ。ちょっとやり過ぎじゃねえのか。。

楽天従業員は、日本国内で、日本人相手に仕事をするのになぜか社内だけ英語になって不便じゃあないのだろうか。いや、不便に違いない。世界各地の支社を統括するようなポジションの人は英語マストね、それに伴って主要なレポートラインは英語にするのでよろしく、という程度なら十分わかるのだけれど、それよりも下位の組織というのは現地の言葉でやったほうがいいのではないのだろうか。例えば、今後メキシコあたりで事業をはじめるような時も、現地でメキシコ人を雇って、まずは英語を教育するのか。それとも英語の教育を施された日本人を送り込むのか。いずれにしても合理性の範疇からは逸脱しており、言ってしまえば実に意味不明である。

他にざっと検索してみたところだと、以下のような記事がみつかった。

DESIGN ARCHIVE - BLOG: 楽天Edyのロゴデザインについて考えよう。

まあダサいと。確かにダサいといえばダサいのだろうが、ダサさの源泉みたいなところに何かがある感じがするのである。

大学デビューとの共通点

さてこうした違和感。似たようなものをどこかで見たことあるよなとずっと思っていたのだが、つい先日ふと思い出した。大学デビューした人である。

今さら説明するまでもなかろうが、大学デビューというのは、大学進学という大きな環境変化にあわせて、自分のキャラを、それまで単なる憧れであった対象に一気に近づけていく試みを言う。非常に短い期間で劇的にキャラの切り替えを行うため、ついうっかり昔のキャラが顔を出したりと随所で綻びを見せるものの、それを勢いで乗り切っていくというのが通常の運用だ。

例えば、髪の色がやけに派手な割に、襟足の処理がバリカンライクでヘアスタイルの床屋臭がどうにも強すぎる人。劇的なイメージの切り替えを嗜好するあまり、ヘアカラーなどインパクトの強い手法が優先的に採用される一方、時間的、金銭的な制約のためにディティールには拘りきれていないために起こるチグハグさである。同種のチグハグさとしては、ジャケットのインナーにカットソーみたいな着こなしを志すも、よく見るとカットソーというかグンゼ(黄ばみあり)みたいな事案も4月のキャンパスでは散見される。例を上げればキリがないが、居酒屋で妙にカクテルばかり頼むというのも、大学デビュー的であると常々思っている。

ここで誤解のないように申し上げておくが、私は、楽天のイメージを大学デビューという甘酸っぱい思い出と括り付けて論うことによって、同社を批判しようと言うわけではない。そうした意図は一切ない。大体、大学デビューの何を恥じることがあるか。デビューしないよりはよっぽどいいではないか。大学デビューを馬鹿にするのはやめたまえ、キミタチ。

ということで、楽天と大学デビューの共通点である。

これは、要するに理想ドリブンだということではないか思う。つまり、何か方向性を決めるようなときに、現状から積み上げていくのではなく、理想から逆算するような思考回路が根底にあるように感じる。どう頑張っても、田舎の散髪屋通いと言う現状の延長線上にはメンズノンノは存在しない。そちら方面を目指すのであれば、どうしてもどこかで思い切って連続性を擲ち、現状を打破する必要がある。こうした大仕事を成し遂げるために必要となる膨大なエネルギーの源が、理想への強い憧れであることは言うまでもなかろう。

楽天のロゴに対する違和感についても、大部分は、あれほど素晴らしい業績を上げ続ける日本を代表するエクセレント・カンパニーの割にはダサい、というギャップによる側面が強いと感じる。あれが例えば年商1億くらいの中小企業による零細ECサイトのロゴであれば、誰も何も言うことはなかろう。業績拡大の勢いが急激であったがためにロゴの洗練され具合が追いつかず、結果として、言うなれば大学デビューした人の襟足やインナー部分みたいな位置づけになってしまっているのが楽天のロゴという整理である。

DeNAを執拗に攻撃していたことについても、おそらく合理的な利害関係の帰結というような話ではなくて、三木谷さんが理想として思い描く球団オーナーが子供に優しかったというだけの話なのかもしれない。理想から話を始める場合、今までそんなに子供オリエンテッドではなかったよねという整合性の話は関係ないのだ。むしろ理想を追い求めるに際しては、現状との多少の矛盾はつきものなのであって、それを勢いで乗り越えずしてどうして起業などできようかという話でもある。

また、楽天の現状、即ち売上の9割以上が国内で、社員の8割以上が日本人という現状に基づく限り、社内の言語をすべて英語にするというのはまったく合理的に導ける方向性ではないように思えるが、数年後、完全にグローバル企業と化したRakuten Corporationから逆算してくると、日本語以外喋れないスーパードメスティック社員が幅を利かせているような現状はむしろ説明がつかない。どこかのタイミングで劇的に切り替える以外に手はないわけで、それがたまたま今だったというだけだ。そこが居酒屋だろうが何だろうが関係ない。とにかくカクテルに嵌った自分を打ち出したい年頃なのである。

楽天あるある応用編

いま、楽天の本質にたどり着いた我々は、これから楽天に起こりそうなことについても容易に予想することができる。順に見ていこう。

  • ロサンゼルス本社建立

社員食堂を英語化した次は、もうアメリカに本社移転しかない。ここでのポイントは、微妙にシリコンバレーではないところで、何でもかんでもシリコンバレーマンセーな日本のベンチャーをひとしきり腐した挙句、自分はロスに移転しそうなのである。当然、本社を米国に移しても劇的にグループの米国での売上比率が向上するはずもなく、無駄にオペレーションが複雑化して当面はコスト増以外の効果をもたらさないあたりまでが予定調和だ。ついでと言ってはナンだが、ぜひ近隣には楽天ランド的な何かもオープンさせて欲しい。

特に根拠はないのだけど、誤解を恐れずに言えば、何となくキャリアと名のつくものが好きそうだという話ではある。それにしてもイーモバイルあたり、数年もしたら自然と楽天グループに入っていそうだから恐ろしい。フラッグキャリアは少し敷居が高いが、可能性があるとしたらやはりスカイマークだろうか。いずれにしても買収発表時の記者会見でのセリフはおおよそ見当がついている。「国際競争力のあるグローバルな○○キャリアとしていきたい」だ。この既視感である。件のロゴを機体に大きくプリントした飛行機が大空を飛び回り、世界の空港を席巻する様を想像すると、胸が熱い。

  • 代表権のない会長に退き院政

これは予想というか既に明確な兆候があらわれている。何を隠そう三木谷さんの役職は、会長兼社長だ。前々から不思議なのだけど、必ずしも必要とは言えない、むしろ名誉職に近いような「会長」という役職を、何故わざわざ新設してまで社長がそれを兼ねるようなことをするのだろうか。社長の仕事と別に、会長としての仕事というようなものが果たしてあるのだろうか。いや、ない。思うにこれは、「社長を後任に譲ったら会長職だけになりますよ」という布石だ。院政に向けたはやる気持ちを抑えきれずの兼職である。何という堂々とした伏線だろうか。

  • 三木谷財団設立

フィニッシュは間違いなくここに決めてくるはずだ。いわゆるひとつのノブレス・オブリージュである。日本では、多少成功したくらいでは、米国人のように寄付や社会貢献に精を出すという行動様式があまり一般的になっていないが、それでも最近はソフトバンクの孫正義さんが原発問題を受けて自然エネルギー財団を設立するなどして、話題となった。三木谷さんには、ちょっとスケールの大きい中田英寿といった風情で、是非プロ野球も絡めながら、世界の貧しい子供たちに対する慈善活動を展開する傍ら、今と変わらない大量のスパムメールを量産してこちらを微妙な気持ちにさせてほしい。


好き勝手書いてしまったが、我が国が誇るネット企業の星、楽天には理想(上記含む)の実現に向けて、是非これからも邁進して欲しい。私としては、どこか遠い場所から引き続き応援していきたいと思っている。