日本の株式市場について

なんか今日はたくさん書いてます。結構忙しいんですが。現実逃避?


さて、日本の株式市場について、少し考えを整理したい。
日経平均は18000円くらいあった去年の夏からあれよあれよと下落を続け、いまや13000円を切ったり切らなかったりしている水準である。実に30%近く下落している計算になる。これがいつまで下がって、その後どうなるのか、という話である。ただ予想というほど大したものではないことを予め了承願いたい。


まず日経平均が下がった理由は、非常に簡単である。外国人投資家が保有株式の売却を進めたからである。株を語ると、ファンダメンタルがなんだとかかんだとか言い出す人が必ずいて、別にそれが間違っているとは言わないが、株式市場は、要は需給の関係にすぎない。買う人が多ければ値段があがり、売る人が多いと値段が下がる。当たり前のことだが、これが何にもまして本質であることは忘れてはならない。だから、現在の下落の原因は端的にいえば、上述のとおり、外国人投資家が売りこしたから、に他ならない。最近の日経新聞に掲載されていたが、個別銘柄における外国人投資家の保有比率と、株価の下落率は結構リンクしているらしい。だからまあそういうことだ。


で、売りこした理由。これもわりとどこでも言われることだが、ひとつはサブプライムローン問題の発覚に端を発する証券化商品の流動性の急激な収縮と評価減による、外国人投資家各位の懐事情の悪化である。金がなくなったから、売れそうなものは売らざるを得なかったということ。もうひとつは、代替的な、というかより魅力的な投資先市場の勃興であろう。よく言われるJAPAN Passingとかいう現象である。つまり香港とかシンガポールとかの市場のほうが成長率も高いし、英語だし、何より日本市場のように外資に対して拒絶反応がないから投資しやすいよね、ということである。
良い悪いではなく、どちらも非常にわかりやすいし、合点がいく理由だと思う。


上記がまとまったところで、今後どうなるかという議論に移る。まず、日本株はファンダメンタルズに対して売られすぎであり見直し買いが入りやすい水準である、という仮説。これはわりと良く見るが違うと思う。なぜなら下がった理由と上がる理由がリンクしていない。懐事情が悪化して売った人や、日本を見切って売った人が、多少割安になったからといってすぐに買いに戻ってくるとはあまり考えづらい。また、昨年の業績に対する指標が割安であったとしても、例えば今後景気が再び下降して、来年度以降業績が悪化していくと仮定すると、それは単に将来の業績悪化が折り込まれているだけであって、割安でもなんでもないということになる。為替も実効レートで考えるとあーだとかこーだとか言う意見もあるが、相対的に昨年よりも円高になっているわけだから、輸出企業の業績が相対的に悪化することは容易に予想されるところである。そういった議論なく、TOYOTAのPERがいくらだから、とかなんとかっていうのはあまりにも納得感がない。


いくらまで下がるか、という議論については、私は単に上がる前の水準まで下がるものだと思っている。即ち、小泉さんが積極的な構造改革の姿勢を打ち出し、外国人による投資が盛んになる前の水準である。最安値の7500円だとかっていう水準は、多少オーバーシュート気味の水準かもしれないが、10000円前後っていう辺りが妥当ではないか。


それでは今後日本株が回復する目処はないのか、という話だが、私はぶっちゃけあんまりないと思っている。個別企業の企業努力(例えば海外で上場するとか)があれば、その銘柄は明るい未来も考えられるかもしれないが、全体としてみた日本株は結構きついと思う。このブログでは過去何度も言及しているが、ホリエモンが逮捕に至る世論。村上さん(村上ファンド)が逮捕される世論。スティールパートナーズが裁判所で濫用的買収者に認定される世論。こうした世論は一時的なものではなく、もはや大きな流れだと思う。私の感覚だと、日本社会の世論は、グローバル経済の恩恵を受けての、世界のマネー流入を利用しての、信用創造に基づいた、経済発展を拒否したのだと思っている。ここでも良い悪いを言うつもりはないが、そうした選択をしたわけであるから、株が下がるのも当たり前だし、社会の風潮がそう簡単に変わるものでもないことを考えると、今後もしばらく上がらないことも当たり前だと思う。


日本の株式市場は、日本のプロ野球リーグみたいになるのかもしれない。日本の市場である程度実績を積んで、実力がついたら、より自分の実力を評価してくれる土壌が発達している海外市場にフィールドを移す。いまは日本企業はプロ野球選手ほど身軽に移籍したりしないが、いずれそうなるのではないかなあ、と私は思う。で、それはそれで経済的にみても悪くないような予感もするわけである(本社まで海外に行ってしまうと税収が減るが)。