最近憶えたコツ

今日本屋に行ったら、FXの本がやたら氾濫していてびっくりした。いくつか拾い読みしてみたのだが、どうも肝心な話が抜けているような気がする。素人の視点という奴かもしれない。折角だから書き留めておく。

・予想するのはあがるか下がるか、ではない。
FXはギャンブルの一種だから、何かを予想して、それに賭けなければ始まらない。ところが、これは非常に強く思うのだが、FXをいざ始めようとする人や始めたばかりの人は一体何を予想すればよいのか、ということでつまづくのではないのだろうか。少なくとも私はそうだった。
で、陥りやすい罠が、相場が上がるか下がるかを予想する、ということだと思う。
FXは、株と比べても特に一方的なトレンドというのは形成されづらい。株で言うと、対象企業の業績なりが伸長して行きさえすれば、株価はそれこそ10倍になったり20倍になったりするが、為替でそういうことはまずない。つまりあがったり下がったりするので、あがるか下がるかを予想しても予想が当たらない。


為替をしばらくやってみると気がつくと思うが、為替相場にはところどころに壁がある。サポートラインとかレジスタンスとか呼ばれているあれのことだが、要はマーケット参加者の心理的な抵抗感の総体だと私は思っている。フィボナッチとかピボットとかボリンジャーバンドとかなんとか、いわゆるテクニカル分析の手法はさまざまあって、プロの方はみなそれくらいは頭にはいっている。それらテクニカル分析が導き出す数字が、個々のマーケット参加者にとっての抵抗感として作用し、その総体が為替相場において壁として現れると考える。


予想すべきは、上述した壁を、「超えられる壁」「超えられない壁」に分類することだと思う。基本的には超えられない壁が近づいてきたら逆張りをすればいいのだ。例えば、いま私はドル円の200日移動平均線の水準を「滅多なことでは決して超えられない壁」と予想してトレードをしている。だいたい107.5円くらいのところにある。だから先週は、107円台になるとのそのそと売り続けた。金曜日に暴落して106円を切ったりしたが、下側の「超えられない壁」は、金曜日に限っては日足のボリンジャーバンド-2σである105.7円くらいだろうというテキトーな予想をしており、しかしこれも的中した。また下で書くが、先週の私はとても運がついていた。



・損切幅を小さく設定しても、損切の回数が増えるだけだろ。常識的に考えて。
FXの入門書を手に取ったことがある人なら確実に同意を得られると思うのだが、どの本を見ても損切幅の設定を利益確定の幅より小さくして、損切りははやく、利益はできる限り伸ばすようにこころがければ、1勝9敗でも勝てるみたいなことが書いてある。さらに具体的な本には、少なくとも2:1以上に設定しないと勝てないとか書いてある。


ただ、常識で考えて、損切りの幅を小さくしたら、損切りの回数が増えるだけで、損切りと利益確定の期待値は変わらないだろ。だから手数料の分だけ負けていくというのがものすごい簡単な計算でわかると思う。私も一時期ポジションをとって、30銭逆に行ったら損切り、60銭伸びたら利益確定と、入門書を鵜呑みにした戦略をとっていたことがあったが、ばんばん損ぎられて頭にきてやめた。


そんなことより、重要なのはやはり予想があたるかあたらないか、である。だから、上に書いたように「超えられない壁」をいくつか予想したら、現行の水準と照らし合わせ、勝てそうな金額が負けるかもしれない金額を大きく上回ったときにポジションをとればよろしい
例えば、「越えられない壁」を、上が107円、下が106円と予想したとするでしょ。この予想で106.5円以上で買ったら馬鹿だってこと。106円になるまで待てとはいわないが、せめて106.3くらいまでは待ちたい。106.3円でポジションとって、予想に反して106円の壁を割ってしまったら損切りすればいいし、107円に近づいたらそこで利益確定すればいい。


だからつまり、ポジションとってから損切りポイントを決めるわけではなくて、損切りポイントを決めてそれから逆算してポジションをとるようにしてはいかがですか、ってことだよ。


・予想があたる、あたらないというのは運。
そうはいってもね、予想があたるあたらないっていうのは、つまるところ運としかいいようがない。完全効率市場のさなか、ド素人の私やあなたが市場の動きを予想するというは、原理的にもまったくもって不可能であって、そんなことができるとは思うべきではない。


しかし、ここからが最重要ポイントだが、人間だれしも運がいいときというのはあって、そういうときは予想もあたるのである。逆にいうと、予想があたったときというのは、それは運がついてるときだから、どんどん勝負したほうがいい。予想した「越えられない壁」の手前できっちり反発したとき、これがあなたが一番勝てるときだ。そういうときは次に予想が外れるまで、がんがん勝負すべき。逆に予想に反して壁を越えてしまったときは、さっさとあきらめて相場から離れたほうがいい。どうせ負けるだけだから。


現に、今回私は上述した、200日移動平均は超えないという予想の的中で、先週15万くらい勝った。50万ちょっとだったのが70万になった。下の壁は104.5円くらいだろうと考えているので、これが外れるまではがんばりたいと思う。


・結局は運なんだけど、経済とか勉強したほうがいい理由。
とにもかくにも、自分の予想を信じるということがスタートラインだから。これができずに、途中で方針を曲げてしまっては、折角運がつきそうになっていたかもしれないものが、逃げてしまうような格好になる。それはもったいのないことだ。
例えば、さっきと同じ、「越えられない壁」を、上が107円、下が106円と予想したとする。この予想で106.3円でポジションをとったとする。でもその後106円ぎりぎりまで下がってしまった。ここで弱気になってはいけないのだ。まだ予想は外れていない。ここは「想定の範囲内です」とか言って、余裕を見せるべき局面だ。


自分の予想に自身を持つためには、ある程度の根拠があったほうがいいだろ。なんとなくの自分の勘にすごい自身を持てる人ならいいけれど、人間はそんなに強くない。それをサポートするのが、ファンダメンタル分析だと思う。


最後に、私の予想の後ろ盾としてのファンダメンタル分析を多少晒す。
ドルは中長期的な下落トレンドにある。これはアメリカの国力が相対的に低下していることに起因しており、去年のなつくらいにサブプライムの問題が顕在化し、信用バブルの崩壊が叫ばれるに至った現在までに一貫したトレンドである。今年の3月のベアー救済で下落トレンドは底を打ったという人もいるが、私の予想は違う。まだ下落トレンドのさなかであるとしている。確かにベアー救済は米国政府の劇的な方針転換にみえたし、その後も口先介入といわれるが強いドルのために為替介入も辞さないという発言すらしている。しかしまだ実際に介入はしていない。インフレ危機もあり、なかなかdけいないだろうなとも思う。少なくともこれが実際になされるまでは、下落トレンドだと思う。もっというと、産油国の協調。これがない限りは、一時的な日米の協調介入程度では下落トレンドを反転させることはできないと考えている。下の壁については大分感覚論なんだけど、たぶんドル円が14.5円とかだと、ユーロドルが1.65とかになるはずだと思っている。これはやりすぎだろ、という感じ。欧州と米国がどちらも我慢できなくなるう水準だと思っていて、この辺になると介入が現実味をおびるような気がしている。


まあこんな感じだ。