ケータイキャリアがこの先生きのこるには

iPhoneの存在は、よくもわるくも(日本の)垂直統合的なケータイキャリアによるユーザー囲い込みモデルにわかりやすく異を唱えることになり、遅まきながら垂直統合モデルの是非が議論されている昨今である。(とはいってもiPhoneも垂直統合的なんだけどね。)こんな感じで。
・iPhoneの存在、「少し悔しい」--ソフトバンクモバイル副社長が本音をチラリ

iPhoneについてはいままで散々文句たれてきたので、今回は特に触れない。
 ・囲い込まれて幸せになるユーザーなどいない(2008/6/24)
 ・iPhoneとは、携帯版Macである(2008/6/13)
 ・「iPhone 3G」のiPod機能はただの客寄せパンダだった件(2008/6/12)
 ・iPhoneが大ヒットしたらなんだかくやしい(2007/7/3)


私は、垂直統合モデルにおけるケータイキャリアの存在は、ユーザーがよりよい通信端末や通信環境を利用するにあたっての強烈なボトルネックになっていると感じているので、もっとオープンな業界になってほしいと思う。


そこで提案なんだけど、ひとりのユーザーに対し、USIMカードを1枚のときと同じ通信料で2枚・3枚と発行してはいかがか。そして幅広く、USIM対応端末の開発を各方面に促してみてはどうなのか。


そうすると何がいいかって、まずユーザーとしては、たくさんの端末をもってあっちやこっちで通信をしても利用料金がいまと変わらなかったらいいに決まってる。例えば(USIM対応の)ニンテンドーDSとかPSPとかiPhoneとかノートPCとか。
ケータイキャリア側からしても、これ以上ユーザーを囲い込んでも、もう何もでてこないと思う。あとは3キャリアでパイの取り合いをしていく格好になるんだろうけど、あまりにも不毛ではないか?USIMカードの発行料の売上とかいいたいわけじゃなくて、USIM対応端末のメーカーさんとか、端末を通じてのコンテンツ販売事業者さんとかからレベニューの一部をわけてもらえば割といい数字になるのではないの。


つまり、ユーザーが通信を利用する端末やコンテンツを増やすことが肝要に思えるのだが、その肝心の端末やコンテンツに関するイノベーションをケータイキャリアが一手に背負ってる現状はあまりに非効率なんじゃないの?ということ。
それよりは、もっともっとオープンな状況をつくって、マーケットを広げるためのオープンな提携を考えるべきなんじゃないの?ということ


インターネット回線はまさにそう(いくつ端末繋げても料金一緒でしょ?)だと思うわけだが、問題はインターネットのプロバイダがネットサービス事業者等からレベニューのシェアを受けているという話は聞いたことがないということ。ただ、このあたりの事情は通信事業者の交渉力や、普及の背景などでいくらでも変化する余地はあるように思える。


ケータイキャリアの"いま"の交渉力ならある程度の条件は引き出せるのではないか。垂直統合モデルで培った彼らの交渉力を動員すれば。
また、PC上のネットのサービスやコンテンツというのは相対的に考えて、店舗経営に似ている気がする。乱暴な言い方をすると「ここで売ってるから、ほしかったら買いに来い。交通費は自分で払ってね、当たり前だけど。」という売り方。一方ケータイのサービスやコンテンツというのはもう少し訪問販売に近い気がする。「こんにちは。今日はこういうものをお持ちしました。いかがでしょう。」という感じ。この場合、サービス・コンテンツのプロバイダとユーザーの距離を縮める交通費にあたるものは、当然サービス・コンテンツのプロバイダ側の負担となるべきである。


このように考えてみても、上で書いたような、ケータイキャリアが端末・サービス・コンテンツ等のプロバイダからレベニューのシェアを受けるモデルというのは、ある程度実現可能性があるような気がする。


ドコモがいきなりこんな思い切ったことをするわけないと思うんだけど、イーモバイルさんあたり、どうっすかね?