ルポ 貧困大国アメリカ
- 作者: 堤未果
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2008/01/22
- メディア: 新書
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読んだ。
著者の、量産型サヨク的イデオロギーによるグローバリズム批判はまったくもって価値のないものに思えるが、この本に書いてある刺激的な事実は知っておいて損はないように思った。
要は、アメリカでは、たった1日の入院出産で1万5000ドルを請求されるという高額な医療に代表されるようなライフラインやインフラの未整備と、サブプライムローンのCDO証券化などの高度に発展した金融技術による貧困層の搾取、過度に研ぎ澄まされた株主資本主義による過剰な経営効率化などの影響で、まともには飯も食えない最貧困層が大量に発生しており、貧しさに耐えかねた人々は米軍に入隊して戦地に赴くが、1年やそこらでPTSDなどにかかり一生を棒に振るのだというはなし。
問題は、おそらく反セイの法則下の資本主義社会では、こういった格差などは必然的な現象であるにもかかわらず、いまだに資本主義よりもまともな社会運営のシステムが考案されていないことだろう。
日本の社会主義と資本主義の折衷案のような社会形態は一時期注目を集めたが、どうも現状をみると、上部構造の肥大化による非効率化などの社会主義的な短所と不況という資本主義的な短所に同時に見まわれている感もあり、あまりおすすめできない。