はてブのなにが気持ち悪いのかさっぱりわかりませんという人が多いので説明してやる
ひとことで言うと、自身を観察する集団に横のつながりがあること、である。
ところで最初に言っておくと、私ははてブには賛成派で、私自身がはてブについて、気持ち悪いからなくなれとかそういうことを思ったことは一度もない。以下の気持ち悪さの説明は、気持ち悪いって言う人はこういうロジックなんじゃないの、という推論である。であるから「お前の方が気持ち悪いわ」は禁止。
はてブの気持ち悪さを極限まで突き詰めると、下の事件と同じ。下の事件の気持ち悪さは割りと同意を得られると期待。
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さて、もっとも基本的なコミュニケーションは1対1である。政治力や能力差による上下関係は常に付きまとうが、ここではそれは仕方のないことだとしよう。
セミナーや説明会の質疑応答のコーナーなどは、ぱっと見1対多に見えるが質問はひとりづつするので、これも1対1。
ただし、不祥事を起こした企業の株主総会の質疑応答や上記の事例は、株主や債権者側が共通の利害を持って、例えば野次を飛ばしたりしてコミュニケーションに参入してくるから1対多。
1対多のコミュニケーションは、個々人の能力差などの要件を撤廃し、その場の空気だけでもって力関係を強制する。前後の筋を通す必要もない。その空気に包摂された人々の精神は、法や規制などのより大きな枠組からも開放される。いじめ、かっこ悪い。というのと同じことを言っている。基本的にコミュニケーションとしては、成り立たない。日常的な例としては、「一緒にしゃべるなw」ということ。
はてブでは、[はてブ/記事URL]というパーマリンクにおいて、ブクマカが結集し、こちらに意見を発してくる。別に結集してない、個人としてブクマしているというのがみなさんの反論なのだろうが、現に「はてサヨ」などという括りが生まれている。彼らがその括りを自認しているのかどうなのかはまったく知る由もないが、現にお互いにスターを付け合いながら、対象を罵倒してくるのだ。今後このような「党派」が増え、それらがいちいち1対多のコミュニケーションを強要してくるようになれば、存分に気持ちの悪いスペースになるだろうことは容易に想像できまいか。集団を結集させるのは何もイデオロジカルな「党派」に限ったことではない。アルファなんちゃらのようなカリスマがコメントすることで、「信者」がウヨウヨと似たようなことを連想ゲーム的に書き込んでいくこともあるだろう。これもまったく同じことだ。みなさんにはそういった状況を目にした経験はないか。その気持ちの悪いスペースこそが、他でもないはてブのパーマリンクのページだ。
換言すると、はてブは、パーマリンクのページを生成し、観察者と被観察者の間に線引きをすることで、1対多の図式を強制的に構築するのだ。この不条理さこそが、気持ち悪さの源泉だろう。
ただし、その不本意なコミュニケーションの強制に対して、当然打つ手はある。なんのことはない、IDコールなりをして、ひとりづつ「下界」に引きずり下ろし、1対1で処分すればいいだけのことだ。自らが自らのはてブページに予めコメントしておくことで、1対多の図式をある程度柔和することも可能だ。であるから、冒頭申し上げたとおり、私にはたいした恐怖ではない。
しかしそもそもはてな外のIDコールができない人や、そうかこっちに引きずり下ろせばいいのかという発想ができない人にはそれなりに恐怖だろう。それらの恐怖を自己責任と言う言葉で切って捨てるだけの資格が、果たして、面白半分でパーマリンクを生成して、スターを付け合って馴れ合っている運営も含めたはてなーどもにあるのだろうか。
むかしキングコングの西野さんという人がいて、「2ちゃんねらーは1人では何もできない卑怯者だ悔しかったら舞台にあがってこい」とか見当違いのことを放言していたが、彼の感じた気持ち悪さもまさにこれだろう。即ち、テレビやライブの視聴者が個人的に文句を垂れる分にはそれは仕方のないことなのだが、彼らが横のつながりをもって、あたかも自分たちに正義があるような面をして、物を申してくる構図が気持ち悪かったのだろうと思う。芸人と言う人前に露出することが仕事の人でもこれなのだ。一般人がさらに怯えたとして誰が責めることができようか。
最後に、普通のブログのコメ欄と何が違うかと言えば、自分と対峙する集団のつながりに割って入れるかどうかの違いだろう。はてブはいっかいしか書けないが、コメ欄は何回でも書ける。気に入らないコメントは削除したっていい。つまりある程度空気をコントロールできる。自分と対峙する集団が横のつながりを設けて、暴力的な振る舞いをし始めるのを回避する努力を働く余地がある。はてブにそれがあるか。
こうした諸々の危惧も含めての気持ち悪さだと言うとわかっていただけるだろうか。
【こうした諸々の危惧を想起させる禍々しい掲示板をあちらこちらに立てて回る行為、これを気持ち悪いと表現することに不自然さはないのではないか。】*1
■追記(11/10)
id:ekken以外の人はわかると思うが、上の記事において私は、
- いわゆる「ネガコメ」というものを問題にしていない。1対多のコミュニケーション化することを問題にしている。この問題は当然、「党派」に属することによって他人を批判する(≒ネガコメする?)敷居が下がることも含むが、より本質的には以前にぽまの人が言っていたように、すべての論点が「党派の利害」に収束することだ。
- 私は上の記事において、あまり現状を問題にしていない。「はてサヨ」という具体例は出しているが、これはあくまで受け手の心理を想像するための例。結語にあるとおり、将来的な危惧を含めての気持ち悪さなんじゃないのかと言っている。はてブという仕組みが、いまのまま存続することで、利害による党派結成のような動きを助長するよね、と言っている。
「ネガコメ?それって単なる批判ですからw被害妄想じゃね?w」的なご意見(と称するのも憚られるが)が散見されるが、こういう通時的な視野も客観的な視野も著しく欠く人間が一定数以上いるのであれば、逆に上述したような私の不安も杞憂に終わるのかもしれない。
*1:【】内は追記