日本の行く末

以下のようなニュースが出ているのを見つけた。

政府・与党は20日、日本郵政グループのゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の約300兆円に上る資金を地方企業への融資などに活用し、地域の活性化に役立てる制度を創設する方向で調整に入った。郵政以外にも政府や地方自治体、地元金融機関が出資してブロック別ファンド(基金)を設立し、地方にお金を還流させる案を軸に検討する。与党と関係省庁で議論し、来年の通常国会に基金の設立などを可能にする法案の提出を目指す。
郵便貯金の約8割、簡易保険の約6割が国債の購入に充てられており、より効率的な運用が課題になっていた。

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実にバカバカしい話ではないだろうか。

日本に存在する企業の9割以上を占め、日本経済を下支えする中小企業に眠る世界に誇れる素晴らしい技術にスポットライトをあて、資金的な援助を通じて産業を育成し、日本をものづくり大国として再生させよう的なありがちなコンセプトが透けて見えるようだ。

その素晴らしい技術を持った中小企業が行き詰っているからこそ、かくも悲惨な状況に陥っているわけであって、そうであれば、カネをまわさなければいけないのはそういった潰れそうな中小企業ではなくて、むしろそういった潰れそうな中小企業に引導を渡す有能な起業家だろう。

そもそも、政府が主導して投資を行って、何かしらマトモな成果が出せると考えること自体が、どうかしてると言わざるを得ない。公開株でも非公開株でも何でも良いが、そういったファンドのマネージャーが、マーケットに勝つためにどれだけ苦労しているか知らないのか。

マーケットというのはそれなりに効率的で、マーケットを上回る運用成績を出そうと思えば、それなりの努力を要する。ド素人の政府系ファンドが時代遅れの理念を掲げて参入したところで、あれだけ多額の資産を運用するということになれば、精々GDPの下落率をまんまプロットするかもしくはそれを下回るようなお寒い運用成績を出し、何の効果も上がらないということは目に見えている。

効率的な資金配分でGDPの成長率を上げるとか考えているのだろうが、そもそもカネさえあればなんとかなるような問題ではなく、夢物語にしか聞こえない。


「より効率的な運用が課題」なんであれば何のことはなくて、全額中国に投資すればよいのだ。

中国は、ご存知の通り10%前後の成長を続ける国だ。何も考えず、分散だけして投資していれば10%近い利回りは確保できるということになる。

日本には1500兆円もの個人金融資産があるらしいから、これを10%で運用したら実に150兆円もの資産を生み出すことができる。日本のGDPが500兆円だから実に30%近い。しかも複利で運用していくことができれば、10年で2倍程度に増える。

ただ、当然良いことばかりではない。資金が全部海外に流れてしまうから、当然国内の産業はかなり厳しい状態に陥り、雇用は激減する。利息や配当だけで食っていけるほどの資産を持っていない人は基本的に中国あたりに出稼ぎに行くことになるだろう。

このことは、日本の人口が減るようなものだから、当然一人当たりのGDPを押し上げる効果を持つ。よって、国内に残る人は徐々に豊かになるだろう。そしてどこかで人口の流出はとまり、調度いいサイズになった日本は、豊かな小国として末永く存続していくことになる。

めでたしめでたし、である。国内のうだつの上がらない産業など、さっさと切り捨ててしまえばよいのだ。


と、いうのはかなり極論だが、どうも最近の傾向を見るに、長期的にはそういった方向性の解決策しか残されていないように感じる。