日本版国富ファンド

あまり話題になっている様子もないけど、亀井大臣がまた何か面白そうなことを言っている。

12月11日(ブルームバーグ):亀井静香金融・郵政担当相は11日、都内で講演し、ゆうちょ銀行の事業について、民営化見直しに伴う全国展開の新たなサービス強化などを通じて、預金額は増えていくだろうとの見通しを表明。その資金は、「外国への投資を含め、幅広く運用を考えていきたい」との見解を示した。

亀井氏は、「ゆうちょ銀の貯金は180兆円くらいあるが、240−250兆円まで増えてくる」とした上で、「そのお金を地域の人たち、日本の産業資金にどう使っていくか検討していく」と述べた。大半の約150兆円が日本国債での運用にとどまっているとして、民業を圧迫しないように運用の多様化・拡大を図りたい考えを強調した。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920013&sid=aHCcPcK93eT4

これはこれでいいのかもしれない。

現状は、日本人の金融資産のうち大部分が、郵便局や銀行を通じて間接的に、利回り1%にも満たない日本国債に投資されている。

政府はその低利で調達したカネを使って、景気対策などと称して公共事業などを行うが、ご存じの通りいまや採算はまったく合っていない。大赤字である。いや、大赤字だから低利なのだと言ったほうが正確かもしれない。

さらに悪いことには、旧来の経済モデルを捨て去ることが出来ないばかりに、大赤字にもかかわらずどんどん事業を拡大するものだから、政府の債務はどんどん大きくなる。そろそろGDPの2倍に達するらしい。

こんなことをしていては、国が貧しくなるのはアタリマエだ。資本主義というのは、結局資本をどこに投下するかでしかない。

現状、我々日本国民は大事な資本を赤字の事業に惜しげもなく注ぎ込み、その穴埋めを政府がしている構図になっている。国債は元本保証だから。

でも政府が穴埋めをしている原資は、我々国民の資産に他ならないわけだから、問題は先送りされているだけで、無駄遣いは後世に必ず響いてくる。いわゆるひとつの自転車操業である。



日本には個人の金融資産が合計で1500兆円もあるそうだが、それをもし中国に代表されるような新興国の産業に投資することで10%の利回りを確保することができたら、毎年150兆円もの配当・利息収入を得ることができる。

150兆円を1億人でわけると、1人なんと150万円/年である。もう少し人口が減って75百万人くらいになれば、1人200万円/年にもなる。それだけあれば十分に生活が成り立ってもおかしくない。働きたくない人は、働かなくてよくなるレベルである。

郵政の民営化や、貯蓄から投資キャンペーンというのは、市場原理を活用して日本の金融資産を成長産業や成長国に振り向け、高い利回りを得て国を富ませるためのひとつの手立てであったのだと思うが、日本人の貯蓄性向が高いのはもはや国民性のようで、あまりうまく行かなかったように思える。

そうであれば、政府が主導して、郵貯を国富ファンドと化し、同じことをやっていくというのはもうひとつの最適解なのかもしれない。

政府が主導すれば、資産を持ってない人が格差問題に目くじらを立てないように、再配分まで一緒に出来る。



加えて言えば、日本の個人金融資産が結果として海外に投資されることになれば、当然為替は円安に進む。過剰供給力を抱えた国内産業界にとっても、朗報となるのかもしれない。