いつまでもGDPが経済の尺度でよいのだろうか

日銀理事の早川英男という人が、支店長会議後の記者会見で「多くの企業が今やろうとしている戦略は、国内市場に見切りを付けて、経営の軸足を海外に移すという形での成長戦略であるケースが非常に多い」と述べ、「そうだとすると、グローバル企業は自らの生き残りの道を見出したとしても、日本経済でみると、新興国を中心とする世界の成長になかなかついていけなくなってしまうのではないか」と長い目で見た日本経済に懸念を示したらしい。

いつもよくわからないのだけど、経営の軸足を海外に置こうが置くまいが、日本の(グローバル)企業が儲かれば日本経済にもプラスではないのだろうか。

軸足が海外に移ると、当然一部の生産設備が海外に移転される可能性は高いから、それに付随して雇用も海外に移転するというケースはなきにしもあらずだろうが、別に海外に働きにいけばいいだけの話だし、そもそも人口も減少していくわけだから、そんなに不都合な話でもないような気がする。

そもそも国内資本が海外への投資に振り向けられることは明らかに良いことに思える。当然リスクはあるが、(国債を通じて)国内の明らかに不要不急な公共事業/投資などにまわされるよりも、よほど期待利回りは高いのではないか。企業だけでなく個人も、もう少し海外へ投資を振り向けたほうが良いのではなかろうか。


そうして金利や配当収入の占める割合が高まると、確かにGDPのようなグロスの指数は減るのだろうけど、果たして「日本経済」というのはそういうことなんだろうか。

言うなれば、いつまでも「売上」や「シェア」を目標にするのではなくて、「1人当たり利益」とか「投下資本収益率」とかに目を向けるべきなのではなかろうか。

企業はとっくにそうなっている気がするが。