日本の産業政策にみる和の心

経済産業省の「日本の産業を巡る現状と課題」という資料が各所*1で話題になっていますが、以下のスライドはなんだかいろんなものが凝縮されていて特に面白いですね。

グローバル企業の好調とドメスティック企業の不調がいい感じに対比されています。

要するに、経済がグローバル化したことに伴い、国際的な競争力を持たないドメスティック企業が存亡の危機に晒されており、日本経済全体の足を引っ張ってしまっているという話かと思われます。

きっと、従来グローバルな大企業の子会社的存在として下請けに精を出してきたような中小〜中堅企業が、グローバル企業が国際競争力を維持するために生産能力の一部を海外に移転したことにより、ばっさり切り捨てられたような格好になっているのではないでしょうか。

まあ、何でもかんでも自前で、国内で、というのはどう考えても効率が良さそうには思えないので、当たり前と言えば当たり前の話のようにも思われます。ひとことで言えば、産業の選択と集中が必要ということになるのでしょう。


ところで、興味深いのはこのページの結論の部分ではないでしょうか。

「ドメスティック企業の付加価値を高めることが鍵。」

ど、どうやってやるんでしょうか。

普通に考えれば、国際競争力のない企業には市場からご退出いただき、その分のリソースを成長企業に振り分け、それでも雇用が不足する分に関しては海外企業を誘致するといった感じが模範解答に思えるところ、「ドメスティック企業の付加価値を高める」という「みんながんばれ」的な政策が飛び出してくるところに、経済産業省の懐の深さを感じざるを得ません。良く言えば。

この「ドメスティック企業の付加価値を高める」という壮大なストーリーの下、決して少なくない予算が組まれ、日本の技術力を海外に紹介するみたいなノリのおかしなコンベンションが地方都市で開催されるところくらいまでは容易に想像できますが、それに何の効果があるのかは想像すらできないところまで含めて日本の風物詩的な趣があり、いとをかしという感じがあるわけです。

*1:「[http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/51664645.html:title]」、「[http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51387194.html:title]」、「[http://rionaoki.net/2010/03/3448:title]」