日本の自動車産業はシェアを維持できるのか
リコールの話ではなく、再び経済産業省の資料から。これはなかなか面白いですね。
以下のスライドについて。
日本企業の強み
こちらによると、どうやら日本の製造業のうち世界的なシェアを維持している業種は、自動車とデジカメの2つしかないらしい。
で、この2つの業種には共通点があり、それが摺り合わせに高い技術を要するという点だと。
"摺り合せ"というのは、iPhoneの大辞林によると以下の通り。
摺り合せ:機械部品の仕上げを行う場合に、部品表面が正しい均一面をもつように精密に仕上げていく作業。
要するに、個々の工程がモジュール化されておらず、部品の仕様などは外部からはわからないブラックボックスになっているということであり、結果として部品の品質を自社でコントロールする必要があるということでしょう。
そういう分野には日本企業は強みを発揮するのだそうです。民族気質がどうのというよりは、一度そういうモデルで成功したから、ということが大きな理由なんでしょう。
ですので課題としては、冒頭のスライドにある通り、今後自動車のモジュール化が進むことによって、日本企業が強みを発揮できなくなるという可能性があることになります。
自動車産業のモジュール化
では自動車製造工程のモジュール化は進むのかどうかと言えば、これについてもスライドに記載のあるとおりなのですが、今後電気自動車が普及すると、そうなる可能性が非常に高いということのようです。
自動者も電気になったらパソコンと一緒だと。
パソコンや家電を見れば分かりますが電子部品はモジュール化でコストダウンしていくので、電気自動車もモーター周りのメーカーがモジュール化で周辺部品を取り組む可能性が出てきます。
こんな記事もあります。
「Dr.Carrasco: 慶応大学の清水教授 「電気自動車、異業種こそチャンス」」
それからTwitterでも似たような話を聞きました。
@CHNPK 電気自動車は、良いパーツを買ってきて組み合わせれば比較的簡単に完成する、というパソコンのようなところがあるらしいので、消費者向けのマーケティングが上手い企業にもチャンスが出てくるかもしれません。
https://twitter.com/tokyojoe_2008/status/7428570249
@CHNPK 電気自動車の権威という慶応の教授が言ってましたが、重工メーカ、電機メーカあたりは可能性あり、と。重電系の電機メーカは確かに可能性あると思います。
https://twitter.com/tokyojoe_2008/status/7421665099
パラダイムシフトによる競争力低下
さあそして、モジュール化によって日本企業の強みが活かされなくなるとどうなるかと言うと、、
ひえ〜。
文章で書くとこう。
IBMが、1980年代にパソコンの仕様を公開し、規格にあったモジュールであれば内部はブラックボックスでもかまわないという開発体制をとった。これにより、世界中に無数の部品メーカーが誕生、モジュールの性能を競ったためパソコンの性能は飛躍的に高まった。反対に、系列会社の生産した部品による作り込みの開発体制をとった日本メーカーは競争力を喪失した。これ以降、パソコンメーカーは性能がよく安いモジュールを世界中から探し組み立てるというビジネスに特化。組み立て産業となったパソコン産業では、格安の賃金で大量生産できる新興企業が幅を利かせることになった。価格低下により、旧来のメーカーにとっては利幅の薄い仕事となり、とうとうパラダイム転換の主であるIBMは撤退することになった。
モジュール - Wikipedia
リコール問題でトヨタ株が下がったら買おうか思ってましたが、やめておくことにします。