YouTubeについて

現在巷の話題を独り占めしているYouTubeですが、ネット上ではその扱いについて盛んに議論が繰り広げられているわけであります。
http://c-kom.homeip.net/review/blog/archives/2006/07/youtube_1.html

一方では、こんなノスタルジックな議論もまだまだ元気です。
http://www.ne.jp/asahi/coffee/house/ARG/compass-047.html


ちょっとそれぞれ要約すると、まず、YouTubeについては、著作権を侵害していると見受けられる映像が非常に多いと、これがまず事実。
これについて主な対立軸として、まずは、違法なものは違法であり、そんなコンテンツが横行しているサイトは奨励されべきではないと。てゆうか即刻世の中から排斥されるべきであると。これが所謂理想派。対するのは、いやいやそうではないと。とにかくユーザーは非常に利便性を感じているし、楽しんでいる。そもそも、違法アップロードについても営利目的ではないわけだから、即ち悪意のある行為ではないと。加えて、(一部のコンテンツホルダーに限定される議論になりますが)YouTubeにて取り上げられたことで、集客、話題性の観点から明らかに利を得ているものもあるわけだから、YouTubeというのは現状においては確かに法制度に則っていないかもしれないが、それは必要悪だろうと。まあ所謂現実派とでもいうんですかね、がいるわけです。

一方で、下のほうの記事ですが、これはつまり無断リンクについて、責任の所在がどうなるのかという話で、リンクという行為がリンク元のページを複写して自分のページに入れ込むという行為にあたるのか、それとも単に参照としてタイトルを書いてるだけの行為にあたるのかという議論ですね。即ち複写であれば、著者の了解を得る必要がありますが、参照であればそういった必要はないわけです。


それぞれの議論について、もう少し掘り下げて本質を探ります。Youtubeの問題については、結論から言えば私は現実派よりです。但し、理想派の意見はかならず対処しなければならない課題と思います。例えば、仮に著作権の問題が解決したとして、ほぼすべての動画コンテンツがYouTubeにアップされているという状況が生じたとします。ユーザにとって非常に魅力的な状況のはずです。みたい動画がすぐに閲覧できます。しかもその動画を自身のblogに貼って、自分の友達とそれについてコミュニケーションできます。わいわいできます。今あるメディアということで、例えばテレビと比べますと、テレビは一方通行のメディアなので、両方ともできません。明らかにテレビより便利なメディアになるといえるでしょう。但し、これはちなみにですが、yahooのカテゴリ検索が100%普及せずに、googleが台頭したように、必ずYouTubeにとっても競合のサービス、よりよいサービスは誕生するでしょう。
が、兎に角YouTubeの狙いはそこにあると私は思います。即ち新しいメディアをつくるということです。
しかしながら、現状においては、多分に問題点を有しているということも大きな事実であります。コンテンツ保有者に無許可でアップロードできてしまうため、コンテンツ保有者の権利が侵害される可能性が大きいということです。平たく言えばwinnyと一緒で、違法行為を助長しています。つまり問題点というのは法的なものということです。
さて、ここで問題。新しいサービスは現行法に基づくことが大前提ですか?それとも新しいサービスの息吹を感じた時点で新しい法制度のほうが変わるべきですか?

リンクに関する議論は、若干ですがこの問題をわかりやすくすると考えます。何故ならリンクという行為は大多数の人が考えて、感覚的に違和感のないものだからです。それでも一部の人が拒否反応を示すのは、決まりがないからです。リンクは著作権の侵害に当たらないとか明確な規定はないですよね?
インターネットという新しいツールが普及したため、新しい概念が次々に登場し、それらは既存の概念で応用がきく場合は応用しますが、なければつくらないといけないわけです。新しい概念が誕生したら、それに対応する新しい法規が必要でしょう。


結論としては、私は、YouTubeは法制度を変え、新しいメディアとして後世にわたり非常に大きい力をつけていくと考えます。現状これだけの議論が巻き起こっているのが一番の証拠だと思います。現状の法制度に照らせばほぼ完全に違法なサービスであるにもかかわらず、それを是とする人が多数いるからこそ議論になるわけで、その人たちというのは、YouTubeの支持者であるわけです。一定以上の支持者を獲得した場合、法改正は現実的なものになることでしょう。法改正がなされた際にはYouTubeは他から見たら反則的な先行者利益を得ることになりますから、盤石な地位を築くことは難しくないでしょう。
法改正においては、コンテンツ所有者に如何にして利益を戻すかということが最大の焦点になるはずです。一番簡単なのは、コンテンツの保有者もしくはその許諾を受けたもの以外が、コンテンツをアップロードする行為を禁止することです。ことなんですが、それでは保有者の恣意性が働きますし、また、それ故に利便性を毀損します。
現実的な打開策としてはコンテンツのトレースとやはり広告だとは思います。あとはそれが本当にできるかどうかだけですが、どうでしょう、技術的なハードルはそれほど高くはないのではないでしょうか。

とすれば、もしかして割と近いうちにYouTubeは上に書いたような強烈なメディアになるかもしれませんね。