携帯電話キャリアは、通信機能を活用し電話機能以外の目的に特化したさまざまな専用端末の展開にもっと注力すべき


実際、電話機になんでもかんでもくっつけようという発想自体がそもそもよく考えると意味不明ではないか。


たとえばFelicaは、いまはEdySuicaあたりがメインだが、もっといろいろ(それこそタスポとかね)対応していったら、携帯電話に加えて保有してもいいくらいの魅力的な端末として十分商品になるだろう。

インターネットもそう。
ブックリーダーもそうだし、カメラもゲーム機もiPodもそう。

カメラにメール機能がついているのは、知人と即時的に共有できるという意味で確かにいいことだが、電話はいらない。ミュージックプレイヤー自体で音楽をダウンロード購入できるという仕組みは、既存の手間を2つも3つも省略している点で実に利便性の高い仕掛けだが、電話機がくっついているおかげで、余計な制約が多いような気がする。


amazonはキンドルを作ったし、appleiPhoneを作った。Googleもなにか作ろうとしているようだ。惜しむらくは『ケータイ』という概念発祥の地と思われる日本発の、そういう通話機能以外にフォーカスした面白い『ケータイ』がでてきていないことだ。どこのキャリアでもいいから、任天堂と組んで通信機能がついた携帯ゲーム機をさっさとつくればいいと思うが、なんでやらないのか。PanasonicとかNECとかSharpとか代わり映えのしない面子を並べて満足している暇があったら、もっと独創的な価値を端末に付加できるパートナーをもっともっと必死になって探すべき。


別に個人が持つ端末は1台が限界ではないし、現に携帯電話をたくさんもっているという(怪しい)人種も少なくない。法人契約のPDA端末を持つビジネスマンも増えている。むしろ通信の重要性はあらゆる局面で高まっているし、ニーズは多様化している。それをなんでもかんでも電話機にくっつけて解決しようというのは、だれがおこがましいのかよくわからないが、とにかくおこがましさをおぼえる。


端末が複数になると、お金がかかるとか、手間が増えるとか、そういった反論は想像できるが、とりあえず、複数の端末でも同キャリアなら通信費を一括請求にできるとかすればいいのではないの。コンテンツのプロバイダーが通信費の一部を負担するような仕組みになるとさらにありがたい(キンドルのモデル)。appleを口説き落としたSoftBankは、たぶん早急にこういう仕組みというか料金プランを用意したほうがいいように思う。というのは、iPhoneは要は通信機能がついたiPodであって、電話機能はおまけである。電話機能メインの端末をほとんどの人が既に持っている状況を考えると、iPhoneと普通の携帯を両方持つという人は今後結構出てくると予想する。
下の記事もご参照いただければと思うが、私もiPhoneと既存の携帯電話は当面の間、よくて棲み分ける、わるくてこけるという見解(コンセプトが気に入らない)だ。
http://japan.cnet.com/mobile/story/0,3800078151,20374882,00.htm
http://d.hatena.ne.jp/chnpk/20070703/1183452377
そのときに、基本使用料を2台分とられたら合点がいかないだろう。これは普及の足枷になるはずだ。また、AppleSoftBankの回線を使って、iTunesで楽曲などを販売するなら、利益の一部をSoftBankに通信利用料として払うべきだとも思う。通信料の一部をappleによこせという話らしいが、実におこがましい。暴利にもほどがある。そのしわ寄せを被るのはユーザーに他ならない。


大事なのは通信すること自体ではなく、何を通信するかであって、本質的に価値を有するのは取得するコンテンツである。通信ではない。「知人との会話」というのは非常に魅力的な、なににも勝るコンテンツかもしれないが、他にも有意なコンテンツは上にもあげたようにいくつもある。いやなにがいいたいかというと、現存する通信キャリアはみな、会話というコンテンツのうえにあぐらをかきすぎである。自分たちの提供する「通信」というものはそれ自体にはあまり価値のないものであるというくらいの低姿勢でもって、コンテンツホルダー、サービスプロバイダーとの提携交渉になお積極的に臨むべきである。


進化のもっとも重要な手段は細分化であって、そこを見誤ってはならない。まずはとにかく、『ケータイ』という概念と通話機能を切り離して考えてみよう。