新社会人に送る社会人としての心得4つ

最近やたらと社会人の心得みたいなご高説が目に付くなあと思っていた*1ら、なるほどいま世間は4月で新入社員が会社にやってくる時期なのかとふと気づいたので、ここはひとつこの流れに便乗して自説を垂れ流すことにした。

4つの心得

私には、仕事上これだけ気をつけていれば間違いなかろうという心得が4つある。

  1. 目的意識を持つこと
  2. 柔軟に手段を検討すること
  3. コンセンサスをつくること
  4. 最後までやること

と、書けばもう既に「あーはいはい」という感じで食傷気味だろうが、ここは私のブログなので構わず説明する。

目的意識を持つことについて

どんな企業活動にも目的があるわけであるからして、その企業活動の割り振り、つまりは仕事で成功を収めようと思うならば、まずは当該目的を把握し、自身の目的意識として落とし込むことが肝要である。

目的とは往々にして抽象的なものなので、ここはあの、悪名高きコミュニケーション能力と双璧をなすようにして、シューカツという極めて不合理な所謂通過儀礼において再三求められたであろう謎の能力、論理的思考力を活かす場面であると言える。

次のような問いかけは有効だろう。

  1. 自分に与えられた仕事はなにか。
  2. その仕事は企業活動というバリューチェーンにおいてどういった位置づけを担うか。
  3. その仕事の成功とはどのような状態をさすのか。
  4. 成功するためのポイントはなにか。

ときには企業活動全体を俯瞰し、ときにはその仕事の内容を精緻に把握することで、目的は段々浮き彫りになってくる。かもしれない。

柔軟に手段を検討すること

きちんとした目的を定義することさえできれば、ことさら言うほどのことではないが、ビジネスマンたるもの目的に対してオリエンテッドでなければならない。

手段とは、しばしばそれ自体が目的化されてしまうもので、そうなると当初の目的に対しての最適な手段とはというのは、すっかり見えなくなってしまう。先日地方の病院に赴いた際の話だが、まだ真っ昼間だというのに、掃除のおじさんが病院の廊下にワックスをかけていた。普通に通り過ぎようとしたした私は叱責を受け、ワックスをかけたところは踏むなと指示された。素直な私は足がつりそうになりながらも、手すり等を駆使することでその難局を切り抜けたわけだが、どう考えても私にそんな義理はないはずだ。件のおじさんは、本来であれば患者や見舞客の快適さのためにワックスがけをしていたはずなのに、いつのまにかワックスがけ自体が目的化してしまっているという良い例のように思われる。

これはまあ極端な例だが、似たような話はいたるところにあるので、気をつけられたい。

コンセンサスをつくること

さあ目的はわかりましたと、手段についても客観的に考えて確からしい仮説をいくつか用意しましたと。素人はここで舞い上がってしまって早速仕事に取り掛かろうと鼻息を荒げがちだが、一流のビジネスマンたるものは、ここで一息ついて、関係者のコンセンサスづくりに腐心しなくてはならない。理由はいくつかある。

ひとつには、なんでもそうだと思うが、一人で出来ることには限界があるわけで、他人を上手に巻き込むと言うのは、ことを成就させるうえでの重要な秘訣だ。与えられた仕事について、きちんとタスクわけして、優先順位をつけて、スケジュールに落とし込んで、それを共有しておけば、あとはそこかしこにタスクを放っておくだけでも意外に親切な人が片付けてくれるかもしれない。また、そもそも近代企業のビジネスにおいては、分業が高度に発達しているため、仕事の受注から納品、請求、入金までをひとりで担当することはまずない。あなたがどのパートを担うかはしらないが、いずれにしても何らかの部署や人に引き継ぐ必要性がある。であれば、最初からオープンにして進めましょうよということでもある。

次に、折角心血を注いで取り組む仕事であれば、途中で梯子を外されることや、プロジェクト自体が有耶無耶になるついでに自身の評価も有耶無耶になるような自体は避けなければならない。これらのリスクは非常に高いので、あらかじめその対策を講じるべきである。考え至った仕事の目的をはじめとして、そのための手段、できればスケジュールまでを関係者で共有しておくべきだ。関係者は、チームのメンバーや直属の上司はもちろん、最終的な意思決定を担う取締役会や会社の管理部、取引先までを含むのでぬかりなきよう。各方面に対する発言力などは当然持ち合わせていないだろうから、上司をうまくコントロールしなくてはならない。そうしておけば、例えば途中でプロジェクトが立ち消えになってしまっても、やってる感はアピールできる。

実際問題として、高度に複雑化した現代社会ではコンセンサスをつくるということは極めて難しい偉業になりつつあるわけだけれども、逆に言えばそれさえできてしまえば、それだけでもう立派な価値になり得るということである。そうした偉業を成し遂げる人物を指す呼び名としては、ファシリテーターでもフィクサーでもなんでもいいが、今後ますます需要が高まる能力だろうと予想してみる。

理由はふたつだったね。

最後までやること

成功の最大の秘訣は失敗しないことなのであり、最後までやれば誰もそれを失敗とは言わないのだ。負けなければ勝ち。体力勝負。最後は気合で。

ちなみに、ここで当初設定した目的が意味を持ってくる。あまり短いスパンの目的ばかりだと、ちょっとしたミスが命取りになってしまう。上述した「自分に与えられた仕事はなにか」を考えるに際してはメタ的な視点を忘れず、なるたけ抽象的な、潰しのきくものを持ってくることを推奨する。

おわりに

このご時勢、どんなに個人が頑張ったところで、会社が潰れてしまうようなことはよくある。所詮個人の力ではどうしようもないときというのは、いつか来るものだ。そのときはめげたりせずに、上記プロセスを繰り返すなかで自身に蓄積したノウハウとスキル、それとわずかばかりの退職金を握り締めて、是非再チャレンジして欲しい。人生短いようで長いからさ。

*1:「[http://b.hatena.ne.jp/entry/http://alfalfa.livedoor.biz/archives/51452432.html:title]」とか「[http://d.hatena.ne.jp/shi3z/20090405/1238913937:title]とか「[http://dochikushow.blog3.fc2.com/blog-entry-1131.html:title]とか。