日米同盟は危機的な状況なのか?

米国側から見た現在の日本政府は、「困惑」の対象から「不信」の対象へと、次第に変わりつつあ」り、「現在の日米関係は、本当に「瀬戸際」にあるように思え」る人がいるようだ。

その根拠は要するに、「日本が将来米国に求めるかもしれない協力の「死活的な緊急度」は、どう見ても、米国が日本に求める協力の「死活的緊急度」より、はるかに大きい」ことなのだそうだが、日本がどれだけ米国債を保有しているのか知らないのだろうか。

米国は今般の金融危機に端を発する景気悪化に対峙するにあたり、未曾有の流動性供給と財政出動を行っている真っ最中なのであって、周知の通り「2009会計年度(2008年10月〜2009年9月)における正味の米国債発行額は1兆7900億ドルに達し、2010会計年度は約1兆4000億ドルに達すると予想されている」。

昨年の暮れくらいに中国に抜かれてしまったものの、日本は世界2位の米国債の保有国である。

普通に考えて、米国にとっての心配は、米国債の大量発行に伴う需給悪化懸念から長期金利が上昇し、ようやく下げ止まりの兆しが見えて来た米経済の足を引っ張ることだろう。

鳩山民主党が何を勘違いしたか突然米国債を売り始めでもしたら*1、米経済は一大事なのであって、「死活的緊急度」が非常に高いというかむしろ、そもそも日本に対してタメ口をきける立場ではない。


大体、「仮に中国が東アジア一帯を自らの勢力圏に入れようとしたとしても、軍事衝突をしてまでもそれを阻止するインセンティブを、米国は最早持ってはいない」などということがあるはずがない。

アメリカが中国の台頭を指をくわえて見ているだろうか?世界の覇権国家たる地位を安々と譲り渡すようなことがあるだろうか?そんなわけない。

アメリカがこれからも世界の覇権を維持しようと思えば、今後世界経済のけん引役になる可能性が高いアジアにおける戦略は、極めて重要なのであって、これもまさに「死活的緊急度」の高い問題だ。日本と中国がくっついたら、軍事力、経済力などで出し抜かれるかもしれないくらいの危機感があって然るべきである。


アメリカが日本を蔑ろにすることは考えづらいし、日本として中国との関係を(米中関係よりもさらに)良好に維持することも、米国をけん制するうえでも極めて重要である。

ただ、確かに中国に軍事的に支配される脅威はやはりあるので、アメリカとの国防上の同盟は死守すべきだろうとは思うから、日本から米軍を追い出そうみたいなノリは、いまいち意味が不明ではある。

*1:ありそうで怖い