日本のいいところ

最近、なんとなく新しい風潮のようなものがふつふつと芽生えつつあるのを感じます。簡単にひとことで言うと、日本っていいところもあるよねーみたいな感じでありきたりですが、日本は長く自虐的な風潮が世の中に蔓延していたと思います。特にバブル崩壊後は、日本の内向きな姿勢であったり、官僚主義的な気質であったり、新しいものにチャレンジしない行動パターンであったりなどをひたすらに蔑み、国家の破綻を憂うというのがあるべきインテリの姿という時代が長く続いていたと思います。


ところがここにきて、なんとなくですが、日本を見直す気運というものがでてきたように思います。前からあったのかもしれないのですが、それこそ右翼的な民族崇拝は常にあったわけで、最近もう少し冷静な、なんとゆうか大人の議論としての「グローバル経済下における日本の立ち位置論」みたいのが、散見されてきたなあ、というのが感想です。

これとかね。
http://blog.goo.ne.jp/kitanotakeshi55/e/44e81f0b5c8d86802ba1364ceff43d46

イチローは確かに天才ですけど、メジャーで4番を打つわけではない。でもしっかりベストナインには選ばれて、すばらしい選手だと野球ファンに思われている。「日本が世界におけるイチローをめざす」、ってのもそれはそれで悪くない・・・と思います。
最後にもう一つ。
先日あるタイ政府の閣僚の方と話をする機会があってその方も実に面白いことをおっしゃってました。いわく、
「タイは自力でなんとか日本のような工業国をめざしたんだが、どうも上手くいかなかった。どれもこれも中途半端に終わる。要するに製造業というあらゆる工夫の塊のような仕事は恐らく世界中で日本が一番向いている仕事なのではないだろうかと思い至った」
そういう見方もある訳ですね、と感心した次第です。


わたしがいままさに胎動を感じているこの議論は、経済がグローバル化するなかで、日本人という特殊な民族は特定の役割に特化していくのではないか、ではその役割とはなにかという議論です。


日本の役割という意味で、いまの段階で最もコンセンサスを得ているのはおそらく産業面で、その役割は製造業です。日本の製造業は近年になっても実はまったく衰えておらず、調べればすぐわかりますが日本の経常黒字はばっちり増えています。自動車や家電などはやはり日本製が強いというのがもはや世界の常識になりつつあります。中国の安い労働力が脅威でどうのこうのと言っている時代遅れのニセインテリは世の中まだまだたくさんいますが、あんな肉マンにダンボール入れたり、ギョーザに殺虫剤入れる国柄と労働力単価だけで比較されても困ります。細かなノウハウや、いまや英語圏でも通じるという「カイゼン」の精神は民族的な特質であり、そうそう真似されるものでもなさそうです。
アメリカあたりは、さっさと製造業を切り捨ててITと金融にものすごいはやさで乗り換えましたが、日本がこれを真似できないのは中流階級を切り捨てられないからでしょう。バカでも入れる大学が一杯あって、大学を出ればバカでも入れる会社がたくさんあって、その会社が生涯やとってくれる。これが日本の成功モデルなのであって、一部の人だけに(ビルゲイツとかね)富や資本を集中させ、その人に賭ける、というアメリカ型とは根本から異なるのでしょう。東京がアジアの金融センターになるとか言ってる人はたぶん頭の中がお花畑なので、注意してあげた方がいいです。
前にも言いましたけど、小泉さんがたぶんちょっとこのアメリカ型自由主義への移行を考えていたような節があって、その流れは完全に世論に否定された経緯があると思っています。だからまあそういうことです。


そしてここから先は、上の流れをなんとなく感じた上での私の個人的な見解ですが、日本の特徴というか、最大の強みは官僚制ではないのか、と。


ここでいう官僚というのは、所謂国家公務員よりももう少し広い意味で、組織における労働者でも投資家でもない、なんてゆうのかな、「会社員」みたいな種族を指します。読んでませんがヴェーバーが何か書いていたはずです(官僚制について)。官僚は、組織において労働者と同じように働きますが、彼らが根本的に労働者と異なるのは、必ずしも労働の成果が報酬となるわけではないということです。例えば工場で自動車部品の半田付けを1000個やったから報酬は10000円ね、という世界には生きていないわけです。官僚には職位があり、概ね年功序列などで昇進をはたし、それぞれの職位に基づいた報酬が支払われます。労働者はお金のために働きますが、官僚は地位のために働くことになります。そして、官僚は若いうちは与えられる報酬以上の働きを強いられる代わりに、終身雇用を保証されます。組織の側に視点を移すと、労働者が必要なお金を手にしたときに働くことを辞めることに対して、官僚は地位を得るために労働を続けます。また、組織への帰属意識が強く、労働者よりも会社のためを思って改善をつづけてくれます。労働者ははっきり言って、自分を雇っているのが誰なのかなど興味がないという人種です。官僚は自分たちの中から自分たちのトップを選出しますから、会社は官僚が支配します。日本において、会社は社員のものだという論調が強いのはおそらくこうした背景というか思想に基づくものだと思います。
一方で官僚制の最大のデメリットは、構造上組織が拡大を続けざるを得ないことです。無駄なポストが次々に新設され、無能な社員でも昇進させないことには制度が矛盾をきたします。いまの日本の状況はまさに矛盾をきたし始めたところ、という感じではないでしょうか。


いまやほとんどすべての大企業は官僚制です。創業者一族がカリスマを発揮し、トップダウンでものごとを決めていた時代は、今は昔の話です。戦後GHQによる財閥解体によって良しに付け悪しきにつけこの制度は終了しました。しかしご存知の通り、以後日本は目覚しい発展を遂げ、Japan as NO.1 とか言われるまでになりました。これは兎にも角にも官僚制が日本の民族的気質にマッチした結果なのではないかと思っております。日本でいまベンチャーがいまいち成功しないのも、同じ理由だと思っています。官僚ばかりで投資家や企業家がいないためです。


これらの分析から、日本のこれから辿るであろう道を考えたわけですが、まずは当然製造業です。製造業のような大組織は官僚制にマッチしていると思います。世界の工場というと物理的なそれこそ「工場」が日本にたくさんできるイメージになりがちですが、どちらかというと工場はそれこそ中国でもベトナムでも何でもいいのですが、要は組織が日本に存在しているということが肝要です。一方で金融業やITなどはちょっと難しい印象です。米系の投資銀行などをイメージしてみるとわかりやすいと思うのですが、彼らのマインドはどっちかというと日雇い労働者に近く、会社への帰属意識がどうとかそういう感じはありません。給料の高いところがあればすぐ移りますがなにか、と顔に書いてあります。こういう形態は、おそらく今後も根付くことはないのではないでしょうか。


大企業以外にもうひとつ官僚制が存分に発揮される組織があります。言わずもがな国家組織です。国家組織とはつまり社会の上部構造です。


ケインズだかも言っていたと思いますが(こちらも読んだわけではないのであやふや)、資本主義社会とはいっても市場原理に完全に依拠して発展を遂げることはできず、必然として存在する格差を是正し、競争に負けた人々を救済するセーフティーネットが必要になります。即ち、富める人から税金を徴収して、貧民に分配する組織のことです。これが社会の上部構造です。


日本の国家組織は肥大化がくるところまできてしまい、誰が見ても頭打ちですが、少し以前のことを考えると、日本の福祉であったり、社会保障であったりのレベルは世界的にみても最高水準のものであったと思います。そして現状こそ肥大化の弊害ばかりがとりあげられていますが、良い点というのが毀損したというわけでは間違いなくありません。アメリカと比べても日本のインフラは天と地ぐらいの差で優れていると、最近もどっかで読みました。
http://wsoku.blog44.fc2.com/blog-entry-227.html

113 名前:1 投稿日:2008/02/18(月) 01:00:37.90 ID:WKsPjwH40
まず、インフラが全然ダメ。
停電とかしょっちゅう起こる。
テレビもよく止まる。日本では放送事故っていうことでニュースになるけど、
向こうでは日常茶飯事。
2年ほど前、カトリーナとかいうハリケーンがアメリカを襲い、
かなり大きな被害が出た。今でも被害の後遺症は残っているらしい。
でも、同じぐらいの時期に日本に来ていた台風何号かの方がもっと規模でかいんだよな。
日本の台風も被害は出したが、そんなに壊滅的なものではなかった。
結局、インフラとかの質の違いがこの差をもたらしたと考えてる。


117 名前:1 投稿日:2008/02/18(月) 01:09:19.74 id:WKsPjwH40
やば。もう1時か。
続き。
サービスの質も悪い。レジのおばさんは客そっちのけでパート仲間と雑談。
電話で工事とか頼み事しても、1回言っただけじゃやってくれない。
しつこく何度も電話して初めて来る。で、ミスって最初からやり直しw
銀行の受付のねえちゃんは自分の所で扱ってる商品知らない。
役所では一日がかりでやっと一つの手続終わる。
公共料金の自動振込みとかできないから、月末は小切手何枚も書くのに大変。
電子化が順調に進むのもある意味よく分かる。
いちいち挙げてたらきりがない。
「Customer first」とかいう標語は、実際にはできてないから使うんだよねw


125 名前:1 投稿日:2008/02/18(月) 01:19:49.98 ID:WKsPjwH40
続き。
物価もべらぼうに高い。
東京の物価が世界一とかいう大嘘流してるのは誰だよっていう感じ。
どうせ広尾に住んでナショナル麻布とかでターキー買うような生活が前提の物価だろ。
ニューヨークでは、ワンルームに住むと月25〜30万ぐらい家賃とられる。
物の値段は日本と同じぐらいだが、
消費税が10%近いしチップも10%以上払うので、割高感がある。
それだけ税金取ってるくせに、病院なんか行こうものなら目玉飛び出るほど取られる。
世界が理想とする国民皆保険制度をとっている日本とは全然違う。
全世界のタミフルの75%が日本で使用されてるってことだけど、
裏を返せばタミフルみたいな高価な薬は普通なかなか手に入らないってことだ。


128 名前:1 投稿日:2008/02/18(月) 01:23:47.66 id:WKsPjwH40
アメリカの悪口ばっかり言ってても仕方ないな。
で、アメリカの道路走ってると、日本車の多いこと。
レンタカーでアメ車も乗ったが、確かに性能が全然違う。
電器屋行っても置いてある商品の半分以上は日本製。
これもメーカー見なくて買っても自然に日本製が手が伸びるほど性能が違う。
日本がこんなに凄い国だとは思っていなかった。

例えばアジア共通の経済組織が構築されることを考え、そこに日本の現在の官僚組織がはまることを考えたらまだまだ当該組織は小さいくらい(逆にいえばまだまだ十分に肥大化の余地がある)ではないでしょうか。私はここに、非常に大きな日本の役割が残されていると思ってしまいます。


この思想を大戦前の帝国主義と混同して、アジア経済圏の発展に向けた建設的な議論が妨げられることを、心より危ぶみます。最期に繰り返しになりますが、改善しながら継続すること、これをやらせたら日本人の右に出る民族はいないのではないでしょうか。


ちょっと熱くなりました。以上です!