映画「おっぱいバレー」が酷い出来だった件
なんかチケットをもらったので観にいってきた。ストーリーはほぼ公表されているのであまりないと思うが、ネタバレとか気にする方は以下閲覧をご遠慮いただきたく。
教師としての自信はどうなったの
要するに、綾瀬はるか演じる寺嶋美香子先生が、自身が顧問を務める男子バレー部の部員と、「試合に勝ったらおっぱいを見せる」という約束をするというだけの話。そんなことができるはずがないという女性としての拒否感と、頑張って勝利することの喜びを生徒たちに伝えたいという教師としての責任感、そして些細なことから生徒の信用を失ってしまったという寺嶋先生の過去のエピソードが絡み、物語が進む。おっぱいに向けられる男子中学生の情熱がコミカルに描かれ、笑いを誘う。
そんな中、全編を通して気になったのが、主人公の寺嶋先生は、結局問題の約束をどう捉えていたのかということだ。
おそらく当初は、女性としての拒否反応も去ることながら、そもそも教師として、不純な動機で生徒を扇動するということ自体について、よくないことだと感じていたように思う。実際そう述べるシーンもあった。
ただそれが終盤に近づくにつれ、動機が不純であることなどどうでもいいという立場に振れていたはずだ。大事なのは、今目の前にいる生徒たちが実際に頑張っているという事実なのであって、それがもともと何のためだったかなどということを掘り返すことに何の意味もない。クライマックスにおいて、「私のおっぱいをみるために頑張りなさい」という寺嶋先生の台詞があるが、あの台詞には教師としての自信が表れていたと思う。
ところが、終盤、その約束が校長先生たちにばれてしまう。
動機の不純さのみを論って、頭ごなしに生徒たちを罵倒する教師どもに素でイラついてしまった私は、寺嶋先生が「動機の適切さ云々よりも頑張ることのすばらしさを伝えることが大事なのだ、それこそが教師なのだ」的なヤンクミばりの啖呵を切ってくれることを期待した。
ところがどうだ。
その場面で描かれたのは、寺嶋先生の過去との決別のみであったのだ。具体的には、寺嶋先生が「確かにそういう約束をしました」と宣言する。もう嘘をついて生徒たちの信用を失うのは御免だと。まあ、嘘はつかない。立派は立派なんだろう。
しかしそれで終わり。期待した啖呵はナシ。そして、そのことが原因であっさりクビになってしまう。
どうもこの辺がすっきりしないではないか。
間違ってると思うなら約束するべきでないし、正しいと思うなら自信を持ってほしい。ついでに言えば、リスクがあることはわかってるのだから、手を打てばいいではないか。
間違ってると思ったのに、うっかり約束させられて、でもやってみたら意外とうまく行ったものだから、それに気をよくして油断していたら、やっぱり怒られちゃいました、テヘペロ、じゃ、単に迂闊なだけのバカとしか言いようがない。単なる迂闊なバカの話を、わざわざ金を払って見に行く意味がわからない。
教師としての自信を取り戻した寺嶋先生が、頭の固い校長たちをやり込めるシーンが一回でもあれば、随分違ったのではないか。
ただの犯罪を美談のように語るな
寺嶋先生は、昔、万引きをしたことがあるのだそうだ。
そのときに世話になった先生に影響されて教師になったという話のようで、万引きのエピソードが繰り返し語られる。行きがかり上いろんな人に言う。
「私が昔万引きしたときに・・・。」
どうもそれに違和感があった。過ぎたこととはいえ、自らの罪をあっけらかんと語る恥知らずのことを、私はあまり好きではないようだ。
そんなことを台詞として語らせる必要があったのだろうか。例えば、回想シーンとしてのみ観客に紹介し、寺嶋先生の語りは停学になったあたりから始めればいいのではないのか。当時十分に反省したとかそういうシーンも全然ないから、悪いともなんとも思ってないようにさえ見えてしまうのだ。
以前にタレントのあびる優が、過去の大量万引きを嬉々としてテレビで語り、視聴者から散々叩かれた挙句、結果として完全にテレビから干されてしまうという事件があった。私は問題の発言があったとき、たまたまテレビで見ていたのだが、確かに不愉快だった。そして今回のおっぱいバレーでも、似たような不愉快さが残った。
伏線は回収しろよ
物語の序盤、寺嶋先生が同僚の教師から恋人はいるのかと尋ねられ、はぐらかす場面がある。
そして中盤、実際に過去の恋人が登場する。
久しぶりに再開した様子で、もう一度やり直そうなどという話になる。ところが、例の約束の所為でおっぱいについてナーバスになっていた寺嶋先生は、いい雰囲気になって胸を触られそうになった途端、動転して逃げ出してしまう。まあ、そこまではよろしい。
しかしこれで終わりというのはどうにもいただけないではないか。
ちょっと仲の良い感じになった同僚教師とはその後一体どうなったのか。昔の恋人とは何があったのか。そしてあの後どうなったのか。一切説明がないのである。
私は特に恋愛的要素が観たかったというわけではないけど、ここまで中途半端な扱いというのは、さすがに気持ちが悪かった。
演技も演出もイマイチ
この話の笑いどころは、ほぼすべて、男子中学生の一途なまでの性への執着である。
そういう意味で、男子生徒たちがおっぱいで団結するシーンはかなり重要である。ところが、その重要な場面での綾瀬はるかのリアクションはいちいち中途半端で、いまいち面白みに欠ける。
寺嶋先生が自転車で先導し、生徒たちが山道をランニングする場面で、いつの間にか掛け声が「おーっぱい!」になっているというネタがある。
綾瀬はるかの演技としては、少し大げさに恐怖して、顔を引きつらせながら、先導するはずが猛スピードで逃げていくぐらいの演技が良かったのじゃないだろうかと思うのだが、実際はと言うと、怒ってるのか気持ち悪がってるのかすらわからない程度に微妙に顔をしかめて、逃げてるのか単に坂道だからなのかわからない程度の力み具合でこぎ去るという、実に中途半端なものだった。
生徒たちがおっぱいを(服の上から)凝視するようなシーンでも、もうちょっとうまいリアクションをとってくれれば、倍くらいは笑えた気もする。
しかし綾瀬はるか、かわいいな
こればっかりは圧巻といえる出来栄え(?)だった。
私が綾瀬はるかの名前を覚えたのは、2ちゃんのコピペサイトかなにかで見た、「綾瀬はるかが○○だったら〜」で始まる変態的レス集合がきっかけであった。
以下はその一例である。
330 :名無しさんのみボーナストラック収録:2006/08/22(火) 23:26:40 id:momWP20lO
【童貞狩り】綾瀬はるかはブラックメタラー【堕天使】 - unkar
綾瀬はるかがドコモショップの店員だったら、機種変の手続きをお願いしたい。
「僕は端末選びにおけるポイントとして、バイブレーター機能を最重要視しているわけですが、店員さんイチオシの『グッド・バイブ端末』はどれですか?」って、真面目な顔して訊ねてやるんだ。
すると彼女、「そうですね…正直申しまして、すべての機能を検証しているわけではないので…」なんて言い訳しちゃってさ、『バイブ』という単語すら口にしたくない様子なんだよね。
「試してみようか?」って囁きながら、展示されている全機種のバイブをONにして、「ヴヴヴ…ヴィーン!ヴィーン!」って音を響かせてやったらさ、ほっぺたを赤くさせながら「ちょ、ちょっとやめてください!!」。
「はぁはぁッ…、“お客様、バイブはおやめください!”って、可愛い声でおねだりしてごらんよ!」って叫んだ瞬間、ドコモダケのぬいぐるみを投げつけてきやがった。
可愛い顔して恐ろしい女だけど、俺に宿った『ドコモダケ』は爆発寸前、もっと恐ろしいことになっていたんだ――。
ここまで突き抜けた表現力は私にはないが、確かに綾瀬はるかはかわいらしいだけでなく、何となく色気があって、おっさん受けするタイプだと思う。
一言でいうと、顔つきがなんかエロい。
私も30を目前にしておっさんとしての感覚が備わってきたのか、本作ではすっかり魅了されてしまったのだった。
ということで、映画「おっぱいバレー」、おススメです。
90点!!