マイケル・ウッドフォード氏の戦いは、なぜあんなに負け戦感満載になってしまったのか

先週書いたゲームの話については、もう少し掘り下げてみたいとは思いつつ、少し弾薬の補充が必要な状況であるため、今週は箸休め的にオリンパス事件の中心人物となったウッドフォード元社長についての雑感を書きたいと思う。 ガバナンス界の黒船 さてオリン…

ソーシャルゲームとキャバクラの違い

ここ最近、ソーシャルゲームと呼ばれる新ジャンルのゲームを提供するGREEやDeNAといった企業が、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いでもって、快進撃を続けている。ゲーム関係で言うと、私は、例えばリア充コミュニティにあっては「あいつちょっとゲームヲタっぽいよ…

アダルトビデオ業界にみるリスクプレミアムの消失について

今日は新年最初の更新であり、当ブログにとって2012年の方向性を決めかねない重要なエントリーであるので、爽やかにアダルトビデオ(以下AV)の話をしようと思う。 最近のAV女優 最近ネット界隈では、いわゆるAV女優が綺麗すぎるというシンプルな事実がたびた…

健康志向と原発問題(2011年を振り返って)

この時期になると毎年言っている気がするが、気付けば今年ももう残すところあと僅かだ。昨年、紅白歌合戦の出場歌手を見ながらAKBについてのエントリーを書いてからもう1年が経つというのだから、実に早いものである。このブログも、前回更新したのが7月だ…

滅び行く株屋の街、兜町

東京駅のすこし東、地下鉄東西線の日本橋駅と茅場町駅の間くらいに兜町という地域がある。その中心に位置するのが日本の株式取引の中心地、東京証券取引所であり、その周囲にも銀行や証券会社などの金融機関が多い。まあ、私の勤務地なのだが、この兜町とい…

それってアービトラージなのかなっていう

本当は先週アップする予定だったものがすっかり遅くなってしまったけど、いつも小器用な文章と池田信夫先生仕込みのエクストリームな経済理論を操り、はてなのブックマーカーを爆釣りしている自称米系投資銀行勤務の天才クオンツトレーダー(そこまで言ってな…

2011年度総選挙振り返り(AKB)

今年もはやいもので総選挙の季節がやって来て、気づけば終わっていた。AKB48については「AKBバブルの終焉 - よそ行きの妄想」に「AKB48に学ぶ証券化の基礎技術とCDO48 - よそ行きの妄想」と、2度にわたって駄文を連ねており、あろうことかそれなりにご好評を…

キャラ化する企業

先日の「日本のベンチャー企業に見られる3つの類型 - よそ行きの妄想」というエントリーは、印象だけでテキトーに書きなぐった割には770ものブックマークを集めてしまい、誠に恥ずかしながら当ブログの最高記録となってしまったわけだが、あのエントリーを書…

人間の必死さが織りなすコント的なものについて

民主党が政権交代を果たしてしばらく経ったくらいからだろうか、私の政治に対する興味は急速に失われつつあり、最近はニュースもあまりチェックしないのだが、先週末くらいからあまりにも各方面が騒がしいので見てみると、なにやら鳩山元総理が、辞めるとい…

持たない、稼がない、稼がせない

月日が経つのははやいもので、気付けば前回ブログを更新してから2週間以上経っているし、2011年も半分終わろうとしているし、21世紀もすでに11年目なわけだが、幼い時に夢見た明るい未来とは違って現実が随分陰鬱かつ暗澹としているので、陰鬱ついでに今日は…

ソフトバンクに見るスマートさの秘訣

ソフトバンクの2011年3月期の決算が発表された。業績は絶好調らしく、同社としては初の売上3兆円を達成だそうで、何やら景気がよろしい感じなので少し覗いてみたわけである。ソフトバンクとはあまり縁のない人生を歩んできたので、決算書を見るのはもう何年…

日本のベンチャー企業に見られる3つの類型

ということで、先日のエントリー「木村剛はなぜ暴走したのか」からの流れで、「ヤンキー的なもの」を求めてナンシー関を読んでみたわけである。 ナンシー関は、横浜銀蠅を論じる文脈において、「銀蠅的なものを求める人は、どんな世の中になろうとも必ず一定…

資本を恐れ私欲に共感する社会

いわゆるライブドア事件の裁判で、ライブドアの元CEOである堀江貴文氏による上告が棄却されたようだ。堀江氏としては一応異議の申し立てを行う意向があるようだが、これはほとんど形式的なもので、司法の判断が覆る可能性はほとんどゼロであるから、事実上、…

iPhoneはなぜ売れたのか

先週iPhone3Gから機種変更して、auのスマートフォンを買った。購入したのは「htc EVO WiMAX ISW11HT」(以下単に「EVO」)で、日本初のWiMAX搭載ケータイとして多少注目を浴びている例のアレだ。これによって、私の2年間に及ぶiPhone生活に終止符が打たれた…

木村剛はなぜ暴走したのか

「凋落 木村剛と大島健伸」は、少し前に世間を騒がせた振興銀行とSFCG(旧商工ファンド)という二つの経済事件に関するノンフィクションである。同著は、木村剛と大島健伸というまったく出自の異なる二人の経営者の運命が交錯しそして同様に破滅へと向かう様…

学歴偏重主義の弊害

少し前の記事だが、日経新聞によれば、日本マクドナルドが従来の採用方法を排しすべての採用をインターンシップ経由に切り替えたとのことである。やたらと学歴を重視する日本の採用慣行は明らかに悪弊であり、こうした新しい試みというのはもっと歓迎される…

上場を維持するコストと上場を廃止するコスト

先日「会社は何故非公開化するのか」というエントリーで「買収の対象となる会社側に非公開化する積極的な理由があることは極めて稀で、どちらかというと買収する側の都合でそうならざるを得ないことの方が圧倒的に多い」という旨を書いたところ、上場維持に…

電子商取引市場の伸びしろとCDS

少し前、TechCrunchの「インターネット販売でAmazonを出し抜くには 」というエントリーが注目を集めていた。内容は題名の通りで、電子商取引の分野でamazonを上回るためにはどういった戦略があるかということを考察するエントリーである。 新しいマーケット…

会社は何故非公開化するのか

震災の影響ですっかり鳴りを潜めてしまったものの、今年は年初よりTSUTAYAの運営会社であるカルチュア・コンビニエンスクラブや、アート引越センターのアートコーポレーション、ワインのエノテカ、システム開発のワークスアプリケーションなど、それなりの有…

原発は「安全」なのか

福島の原発が緊急停止して以来フル稼働を続けている我らが池田信夫先生だが、その勢いはとどまるところを知らず、最近では原発を自動車と比較して安全だと強弁するのが先生のマイ・ブームのようだ。 自動車のリスクを「年間5000人」と書くのなら、同じ基準で…

ボディビルダー風セールスマンの倫理観とリスクについて

「金融大狂乱 リーマン・ブラザーズはなぜ暴走したのか」は、かのリーマンブラザーズの元従業員が破綻の内情を綴ったいわゆるノンフィクションものだが、自分達は実に有能な働きをしたし、サブプライムモーゲージなんかも危ないと思ったから必死で止めたんだ…

素人相手にいくら積極的に情報開示しても時間の無駄

先週の東日本大震災の影響で、福島の原子力発電所においては、緊急停止後の非常用電源系統の誤作動からはじまり、建屋の爆発や火災などが相次ぎ、炉心の溶融や核廃棄物の再臨界などが懸念されるなど、危機的な状況が続いている。震災から約1週間がたった19日…

俄かには信じがたい狂気 ※追記あり

あまりに胸糞が悪く、引用することさえ憚られる内容なのだが、石原慎太郎がこの度の大震災に関して次の通りコメントしたようだ。以下はasahi.comからの全文引用。 石原慎太郎・東京都知事は14日、東日本大震災に関して、「日本人のアイデンティティーは我…

PVジャンキーの末路

先週末に東北地方と関東地方を襲った大地震は本邦観測史上最大級の規模とのことで、その凄まじい被害にはただただ息をのむばかりであり、このブログも更新を自粛しようかなどと少し考えたりもしたものの、別に私がブログの更新を控えたところで誰が助かるわ…

AKBバブルの終焉

去年の晦日に書いた「AKB48に学ぶ証券化の基礎技術とCDO48」というエントリーは、ブックマーク数こそ然程多くなかったが、ツイッターではわりと好評で、結果的にアクセスはそこそこ多かった。そこで私が書いたことは、AKB48というモデルが数年前に世界の金融…

転売屋の利益は何のコストか

先日、転売屋についてのエントリーを書いたところ、割と少なくない反応が寄せられたわけだが、なかでも比較的多かったのが「転売屋が巣食っているのは『限定品』などの供給量が変わらない市場だ」という指摘だ。 そういう指摘をする人が何を言いたいのかはイ…

インターネットによって仲介業者が滅ぶという幻想

情報通信技術の発達、とりわけインターネットの普及によっていわゆる仲介業者が不要となり、それにより消費者と生産者の便益が劇的に向上するとする議論が、世の中には意外と多い(印象)。 直接金融市場における調達コスト こうしたストーリーの大部分が印…

茂木センセーはちょっと飛ばし過ぎじゃないのか

テレビでも引っ張りダコの偉い脳科学者であられる茂木健一郎センセーはtwitterでも大人気で、19万人を超えるフォロワーを擁する茂木センセーがひとこと呟けば、favstarは乱れ飛び、多段RTは大地の隅々まで響き渡る勢いである。 人気がおありなのは誠に結構な…

価格メカニズムと転売屋の功罪

転売屋という言葉は、普通に一般でも使うと思うが、ネットで転売屋と言うと、基本的には人気商品を買い漁り、ヤフオクやAmazonマーケットプレイスなどの個人間取引市場において定価の数倍という高値で転売することを生業としている人たちを指すことが多い。…

市場とは何か

「ザ・クオンツ 世界経済を破壊した天才たち」は、証券市場で莫大な財産を築いた天才数学者(クオンツ)たちの物語だが、それは市場そのものの物語と言っても過言ではないものに思えた。 ザ・トゥルース 市場とはなにか。それは、真実の探求であると言える。 …